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生き身
「生き身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生き身の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ひそめたままでした。 なぞはいたずらに濃くなるばかり。 ただ、いぶかしいのは
生き身もろとも、共焼きにしたその青焼き人形です。ワガ姿ヲ写ス、弥七郎作とある銘も....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
十九里ガ浜へ行きゃ、松のてっぺんまで聞えた名めえだ。松魚にしてもこんな生きのいい
生き身はありゃしねえやい! 生かして帰えせと言うんじゃねえんだ。のめすならのめす....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
純に信じて来た彼は屈托《くったく》なげに云った。
「風邪《かぜ》をひいたそうだ、
生き身だからね――」
「風邪?――」と阿賀妻は咎《とが》めるように云った。眉根《....
「日は輝けり」より 著者:宮本百合子
ならないむごたらしい死様を、自分もしなければならないのだと、彼女は、思った。 「
生き身を、こんなところにとじ込められ、正気なものを気違いあつかいにされてどうして....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
らない。しかし灸《きゅう》の場合には事がらが精神的ばかりでなくともかくも生理的な
生き身の一部に明白な物理的化学的な刺激を直接密接に与えるのであるから、きくきかぬ....
「女の歴史」より 著者:宮本百合子
面でつかわれている。 それが歪んだ人間の使いかたであるからと云って、その歪みを
生き身にうけて、云って見れば自分たちの肉体で歴史の歪みをためてゆかなければならな....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
コライヴナと申しますんでございますよ。紹介するのを忘れておりましたが。――これは
生き身の天使でございますよ……人間の世界へ天降《あまくだ》りましたんで、……でも....
「夜長姫と耳男」より 著者:坂口安吾
ケモノが間に合って長者の一家を護ったのもヒメの力によるというのだ。尊い神がヒメの
生き身に宿っておられる。尊い神の化身であるという評判がたちまち村々へひろがった。....
「高尾ざんげ」より 著者:豊島与志雄
そこに屈みこんでしまいました。 「もういいわ。」大きく息をつきました「分ったわ。
生き身を捨てた気持ち、分ったわ。」 いつまでも凝視し続けてる檜山の前に来て、菊....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
しいのよ。」 「病気らしい……そんなのは、ちっともへんじゃない。たとい病気でも、
生き身だから、ふしぎはない。だが、ほんとに病気なのかい。」 「御病気らしいの。そ....
「図書館に生きる道」より 著者:中井正一
を感ぜずにはいられない。 図書館の中に生きることは、この「形」の発展の形成を、
生き身をもって生きることにほかならない。....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
女の外交饗宴のなかに見せびらかしながら、諸王を釣ってきた。幾年も彼女はその神秘な
生き身を、全ヨーロッパの運命の廻転軸たらしめたのである。そしてまた、諸国が争って....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
紙質のちがった、べつの一書があらわれた。……と、故人の鬼魂がそこらを旋ッて啾々と
生き身に何かを訴えるようだった。――高氏は、指のふるえを禁じえない。抜きかけたが....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
もしていなかったのに体もあたまも清々としていた。これが自分だったと思われるような
生き身の味を久々に味わった。 「そうだ、ここにいて」 下山が惜しまれて、彼はそ....
「雲霧閻魔帳」より 著者:吉川英治
難う存じます」 言葉さえ、彼はだんだん人格的に気をつけた。一日、膝も崩さない。
生き身のまま、神になって行くような気がして来た。 「俺は今自雷也だ」 彼は、自....