生まれ落ち[語句情報] » 生まれ落ち

「生まれ落ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

生まれ落ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
らず乳母を養うことも貧しい彼の家の生計には出来ない相談の一つだった。彼はその為に生まれ落ちた時から牛乳を飲んで育って来た。それは当時の信輔には憎まずにはいられぬ....
或る女」より 著者:有島武郎
ってどんなひどい事をいわれるかしれたもんじゃないんだよ。お前も知ってのとおり私は生まれ落ちるとからつむじ曲がりじゃあったけれども、あんなに周囲《まわり》からこづ....
「享楽座」のぷろろぐ」より 著者:辻潤
文を唱えて 若き男達の唇と股とを祝福せよ 怪しくもいぶかしいボドビルが そこから生まれ落ちるだろう 民衆芸術のワンタンを喰うな 月経に汚れたブルジョア娘の下着を....
般若心経講義」より 著者:高神覚昇
やっと書き上げた。その人類史の結論だったのです。人は生まれ、人は死んでゆく。その生まれ落ちてから、死んでゆくまでの人間の一生、それは畢竟苦しみの一生ではないでし....
愛卿伝」より 著者:田中貢太郎
ってみた。妊娠してから二十ヶ月目に生れたという男の子がひいひい泣いていた。それは生まれ落ちるときから輟めずに泣いているものであった。 趙は主人に逢って、自分の....
ねずみと猫」より 著者:寺田寅彦
ところに著しい類似がある。 のら猫の子に比べてなんという著しい対照だろう。彼は生まれ落ちると同時に人類を敵として見なければならない運命を授けられるのに、これは....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
目がちに訊いた。 バグリオーニは言葉を強めて語りつづけた。 「この美しい女は、生まれ落ちるときから毒薬で育てられて来たのだ。そこで、彼女の本質には毒が沁み込ん....
わかれ」より 著者:国木田独歩
陰涼しきオーシスに行きあいて堪え難き渇きと死ぬばかりなる疲労を癒する由あれど、人生まれ落ちての旅路にはただ一度、恋ちょう真清水をくみ得てしばしは永久の天を夢むと....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
赤ん坊を葬ったその日のこと、マルファ・イグナーチエヴナがふと夜半に眼をさますと、生まれ落ちたばかりの嬰児の泣き声らしいものを耳に留めたのだ。彼女は愕然《がくぜん....
可愛い女」より 著者:神西清
に前後も忘れてこう口走らずにはいられなかった。―― 「可愛い女ねえ!」 彼女が生まれ落ちるとからずっと住み通してきたこの家は、お父さんの遺言状には彼女の名ざし....
駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
子は「窮行女学院」のお客様にあたるのだ。 賤しい女の腹に出来たとはいうものの、生まれ落ちるとそのままいまの乳母の手に育てられて淋しい郊外に人となったので、天性....
淡紫裳」より 著者:佐藤垢石
とかいう大きな川の石は丸いのであるという。汽車の窓から見える川の石は、まだ山から生まれ落ちたばかりの石であるから、角がとれないのだ。と説明されて、なるほどと思っ....
かもじの美術家」より 著者:神西清
めまいという伯爵の方寸からして、あわれ彼は「休暇というものを一生涯もらえず、また生まれ落ちてこのかた一文のお銭もその手のうちに見ずに」いぶり暮らしていたのであっ....
ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
自分の背中にへばり着かぬように気をくばっていただけのことだった。 監獄病院で、生まれ落ちた赤んぼを渡された時でさえ、彼女は『ふん、もう用無しだわ!』と言ったき....
恐妻家庭円満術」より 著者:小野佐世男
腹の中でボクは育ったのですから。そんな気がして、何か厳かなような気がして、自分の生まれ落ちたその女性というものを非常に恐れる。尊敬と、その中に自然に恐れているよ....