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生やす
「生やす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生やすの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「可哀相な姉」より 著者:渡辺温
泣いた。けれども私は、固い決心をもって姉のたあいもない我儘に抗った。
――髭を
生やすことがなぜいけないのか?
私は、毀れてしまった操り人形のように、あわれに....
「こころ」より 著者:夏目漱石
を拵えるというほどの分別《ふんべつ》は出なかったのです。私は卒業して髯《ひげ》を
生やす時代が来なければ、服装の心配などはするに及ばないものだという変な考えをもっ....
「わが町」より 著者:織田作之助
ゃん、いたはる、しやけど、髭生やしたはれへんな」 「当り前や。二十六やそこらで髭
生やすのは東西屋だけや」 「あ、お父ちゃん、お父ちゃん」 君枝はおどりあがって....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
がうるさい。蚊がうるさい。薔薇にも豌豆にも数限りもなく虫が涌く。地は限りなく草を
生やす。四囲の自然に攻め立てられて、万物の霊殿も小さくなって了いそうだ。
隣の....
「渡り鳥」より 著者:太宰治
したがって嫌悪も無い。僕も、そうかも知れん。なさけなし。しかし、口髭……。口髭を
生やすと歯が丈夫になるそうだが、誰かに食らいつくため、まさか。宮さまがあったな。....
「人生案内」より 著者:坂口安吾
の人間的意義を疑られるには至らないが、当年三十八の人生案内狂、ついにチョビヒゲを
生やすという存在はいかにも奇怪だ。 二人の子供を抱え、無一物の中であせらず慌て....
「桜の園」より 著者:神西清
さるけれど、ほんとに妙だわ。……そうじゃなくて? ね? それに、その顎ひげだって
生やすなら
生やすで、も少しなんとかしなくちゃねえ。……(笑う)可笑しな人! トロ....
「文づかい」より 著者:森鴎外
の波にただよわされて泳ぐ術知らぬメエルハイムがごとき男は、わが身忘れんとてしら髪
生やすこともなからん。ただ痛ましきはおん身のやどりたまいし夜、わが糸の手とどめし....
「髪」より 著者:織田作之助
の毛を伸ばしたかったのである。 しかし中学生の分際で髪の毛を伸ばすのは、口髭を
生やすよりも困難であった。それ故私は高等学校にはいってから伸ばそうという計画を樹....
「ばけものばなし」より 著者:岸田劉生
それが全然、想像的な創作だからである。殊に、目のないところに目をつけたり手や足を
生やすことが一つの「怪」の気持をなすからで、此処へ行くと幽霊の方が、リアリスチッ....
「酋長」より 著者:岡本かの子
た。 「ここに鼬の係蹄が仕掛けてあるよ」「あれが鵯を捉える羽子だ」そして、「茸を
生やす木」などと島吉が指さすのを見ながら、これが東京とは思えなかった。月日のない....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
て参ろうと思う。留守中には、分家の聟を家長と立て、飼蚕も怠るまいぞ、田や畑に草を
生やすまいぞよ。よいかの、皆の者――」 河原の権叔父も五十ちかいし、お杉隠居も....
「母の手毬歌」より 著者:柳田国男
ることはできないであろうか。果樹や花の木の新種というものは、実をもいで来て播いて
生やすよりは、台木を見つけてそれに接穂をするほうが早く成長する。そしてその台木に....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
(「お粂さんは」髪の毛の薄いためにどこへも片付かずにいる人だった。しかし髪の毛を
生やすために蝙蝠の血などを頭へ塗っていた。)最後に僕の通っていた江東小学校の校長....