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生一本
「生一本〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生一本の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
てていた。こういう見張り人がそばに控えているので、半九郎も少し言いそそくれたが、
生一本《きいっぽん》な彼の性質として、自分の思っていることは直ぐに打ち出してしま....
「蠅男」より 著者:海野十三
、 「ウフ、名探偵帆村荘六さえ、そう思っていてくれると知ったら、蠅男は後から灘の
生一本かなんかを贈ってくるだろうよ」 「灘の
生一本? 僕は甘党なんですがねえ」 ....
「地球要塞」より 著者:海野十三
布が敷かれていた。そこへ、オルガ姫が、酒の壜《びん》をもってきた。 「ああ、灘の
生一本か。こんなところで、灘の酒がのめるなんて、夢のようだな」 皆は、子供のよ....
「毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
よ。やっぱりイギリス製のウィスキーだけありますねえ。これは英帝国盛んなりし時代の
生一本ですよ。間違いなしです」 「相当にうるさいね、君は」 「いや、酔払ったんで....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
貴方、田舎出来で、沢山甘くはござりませぬが、そのかわり、皮も餡子も、小米と小豆の
生一本でござります。」 と小さな丸髷を、ほくほくもの、折敷の上へ小綺麗に取って....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
とお思いなさい。その上、面倒な口を利く父親なしに、お誓さん一人で育てたら、それが
生一本の田沢家の血統じゃありませんか。そうだ、悪魔などと言ったのは、私のあやまり....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
ると云う意味であろう。この限りでは菊池寛も、文壇の二三子と比較した場合、謂う所の
生一本の芸術家ではない。たとえば彼が世に出た以来、テエマ小説の語が起った如きは、....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
見れば啄木もその頃既に変った風格を具えた人間であった。あの矯飾していたような中に
生一本な気質を蔵していたということが分って、こんな些細な事が快く思い出されるので....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
と会談の語次、ほとんどその事に及ばざることなかりしという。この篇の稿|成るや、先
生一本を写し、これを懐にして翁を本所の宅に訪いしに、翁は老病の余、視力も衰え物を....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
った。透明な芝草がよじれて引っちぎられて、飛び立つ羽虫のように飛んだ。 青年の
生一本の競争慾は、いい加減で中止出来なかった。力闘は益々劇しくなって行った。縺れ....
「荘子」より 著者:岡本かの子
た頃度々(時には妻の田氏とも一緒に)宴席やその他の場所で彼女に会ったことがある。
生一本で我儘でいつも明鏡を張りつめたような気持ちで力一ぱい精一ぱいに生活して行っ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
かないか、それさえよく覚えていない。――思い出せば、その酒と鮪の最中、いや、灘の
生一本を樽からでなくっちゃ飲めない、といった一時代もあったが、事、志と違って、当....
「残肴の処理」より 著者:北大路魯山人
上、残肴の整理など大変だと事務的に考えがちのものだが、生かさずにはおれないという
生一本の性根がほしい。好きの道だからこそ、ここが大切なのだ。心の底から料理が好き....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
た女に多いのであります。それは、余り世間の荒い波風に当らなかったか弱い、あるいは
生一本な処女が、家庭を持ってその主婦となり、周囲の煩瑣な事件や境遇にひどくいたぶ....
「融和促進」より 著者:喜田貞吉
私をして忌憚なくこれを言わしめるなら、私は今までの水平運動者の中には、あまりに
生一本にすぎる人が多かった、潔癖にすぎる人が多かった、色眼鏡をかけて世間を見る人....