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生乾
「生乾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生乾の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
小僧の一人が揃えて出した日和下駄《ひよりげた》を突かけて、新刊書類の建看板が未に
生乾きのペンキの※《におい》を漂わしている後から、アスファルトの往来へひょいと一....
「俊寛」より 著者:菊池寛
彼らに、孤島生活の惨苦が、ひしひしと迫ってきた。毎日のように、水に浸した乾飯や、
生乾きの魚肉のあぶったものなどを口にする苦しみが、骨身にこたえてきた。彼らは、そ....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
次郎さまが御心配のことでしょう。」 七月の初めではあるが、山は、夏を知らない。
生乾《なまかわ》きの脛《はぎ》に袷《あわせ》の裾をさばいて、うねうねとした黒土の....
「道標」より 著者:宮本百合子
トの右はずれの建物の四階にあった。入口のドアをおして入ると、その大きい建物全体の
生乾きのコンクリートがスティームに暖められ、徐々に乾燥してゆく、洗濯物が乾くとき....
「超人鬚野博士」より 著者:夢野久作
イヤイヤ。原稿料なんか一文も要らん。上等の日本酒と海苔と醤油があれば宜しい。鮠の
生乾が好きなんだが、コイツはちょっと無かろうて……。 感化院脱出 世....
「私の感想」より 著者:宮本百合子
変遷して、今年のさんまは切ろうか丸かと問題になった。肩させ裾させの虫の声は、壁も
生乾きの家を争わねばならない幾百万の店子の耳にいかなる秋を告げるだろうか。 ....
「魔都」より 著者:久生十蘭
会食者が犯人かも知れぬという一点の疑問はこれで解消した。推察通り、犯人は料理場の
生乾きの壁に凭れていた、背の高い「第四の男」である。
「お前は、鶴子が風呂敷包の....
「肌色の月」より 著者:久生十蘭
がいのないところだから、いまのうちに着換えをすましておくほうがいい。 久美子は
生乾きのジャンパーや下着を腕の中に抱えとると、着換えをするために、二階の部屋へあ....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
なく灯は消えてしまった。 鼻をつままれても分らない真の闇。雨で湿《しっ》けた、
生乾《なまがわ》きに似た壁の匂いがムッと鼻を衝いて、また小銃が、砲声が、ワッワッ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ってこのとしよりを捨てておいたら、またどいつかが悪い量見を起さねえとも限るまい」
生乾きの着物を抱え、彼女を背なかに負ぶって、乾児の男が、半瓦のあとに尾いてそこを....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
彩色図なのである。 一見して、いけないと感じた。だが、祖師の眼光や、彩色の折、
生乾きの朱泥のうえに、強く太く引いた描衣の線のつよさに打たれて、凡手ではない――....
「銀河まつり」より 著者:吉川英治
は、正覚坊の卵みたいな、三寸玉から五寸玉ぐらいまでの花火の外殻が、まだ雁皮貼りの
生乾になって幾つも蔭干しになっているし、膠を溶いた摺鉢だの、得体の知れない液体を....
「小ざかな干物の味」より 著者:北大路魯山人
干ものの美味いのに当ったよろこびは格別である。ことに中干しとか、
生乾しとか言った類いの最上物に当るうれしさは、筆に尽しがたい。東京近くで言うと、....