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生卵
「生卵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生卵の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「坊っちゃん」より 著者:夏目漱石
えよう》をさせているだろう。――おれは一皿の芋を平げて、机の抽斗《ひきだし》から
生卵を二つ出して、茶碗《ちゃわん》の縁《ふち》でたたき割って、ようやく凌《しの》....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
了見《りょうけん》か、今日の天気に乗じて、尺に余る緑の黒髪を、麩海苔《ふのり》と
生卵でゴシゴシ洗濯せられた者と見えて癖のない奴を、見よがしに肩から背へ振りかけて....
「少女地獄」より 著者:夢野久作
り》に寄ってたかってチヤホヤされるのでした。私を神様か何ぞのように大切にかけて、
生卵や果物なぞを特別に沢山《たくさん》下すって御機嫌を取りながら、否応なしに競技....
「一九三二年の春」より 著者:宮本百合子
襖一重のこっちの気勢を監視しているのがわかる。連れてゆかれるものと思い、わたしは
生卵を二つのんだ。やがて、電話か何かかけに山口が出て行った。わたしは家の者に耳う....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
いでにわたしのも取っておくれ。」五百は氷を食べた。 翌朝保が「わたくしは今朝は
生卵にします」といった。 「そうかい、そんならわたしも食べて見よう。」五百は
生卵....
「お父さん」より 著者:林芙美子
した。 おかあさんは、熱があるので、パンはほしくないといって、うなぎのきもと、
生卵を一つ食べました。 僕たちは茶の間で食事をしました。 パンはとてもおいし....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
タやクリームを無理にも押しつけようとした。クリストフは音楽家だから、朝晩に新しい
生卵をのむくらい声にきくものはないと、言い添えた。生み立てのぽかぽかした卵を差し....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
、じろりと次郎を見た。しかし何とも言わなかった。きのうの朝は、恭一が次郎のために
生卵をねだったりしたが、きょうは誰もそんなことを思い出すものさえなかった。 お....
「蜻蛉返り」より 著者:佐藤垢石
か、惣太鰹の腸の叩き。まぐろのいすご、鱸の腹膜、このわた、からすみ、蜂の子、鮭の
生卵、鰡の臍、岩魚の胃袋、河豚の白精など、舌に溶け込むようなおいしい肴の味を想い....
「皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
過ぎている。それにもかかわらず膳に向って箸を取ると、汁の外は喉を通らぬ。やむなく
生卵を二つばかり飲んで三食に代えた。よほど体に変調を来したものと見える。これで山....
「うどんのお化け」より 著者:古川緑波
文しているうちに、何《ど》うも、十日以上にもなると、倦きちまって、カレーうどんに
生卵を落して呉れと註文したり、おかめと、きつねの合併したのを造って呉れと、言った....
「牛鍋からすき焼へ」より 著者:古川緑波
どは出さなかった。 そして、ああこれは肝腎《かんじん》なことだった。その頃は、
生卵なんか附けて食いませんでした。
生卵を附けて食うのは、あれは(今では、もう東京....
「富士屋ホテル」より 著者:古川緑波
ーストに、ハムエッグス、ベーコン等の朝食から、熱海の名物の干物、納豆、みそ汁に、
生卵という朝飯の、ああ何とも言えない、うまさであった。 それは、日本人の幸福と....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
かとか、ふすまを納めるまぐさ屋を開業した。この下宿屋にいて、私の持って帰る牛乳と
生卵ばかり食わされていた帝大生の一人に、菊池龜三郎という独法科の学生がいた。のち....