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生暖かい
「生暖かい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生暖かいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
うにして出てきた。渡瀬が夕食の馳走になった部屋のドアが開けぱなしにしてあるので、
生暖かい空気とともに、今まで女がいたらしいなまめかしい匂いが、遠慮なく寒い玄関の....
「高山の雪」より 著者:小島烏水
て、南が高くなっている、冬季多量なる湿分は、雪線を低くするが、これに反して乾燥な
生暖かい風は、雪線を昂《たか》める結果になる、日本アルプスを仮に最北を白馬岳から....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
朽木の匂いがぷんぷん香ってくるのだった。しかし、戸口を跨《また》いだとき、滝人は
生暖かい裾風を感じて、思わず飛び退《すさ》った。それは、いつも忌《い》とわしい、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た頃には、三月十二日ももう暮れかかっていた。旧暦の三月であるから、きょうは朝から
生暖かい風が吹いて、近所の武家屋敷の早い桜はもう散り始めていた。汗ばんだ襟のほこ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
通りの柳は日ましに青くなって、世間は四月の春になっても、銀座の町の灯は依然として
生暖かい靄の底に沈んでいるばかりで、夜はそぞろ歩きの人もない。ただ賑わうのは毎月....
「黴」より 著者:徳田秋声
あけてから、一同はそこを引き揚げた。山の手の町には、柿の葉などが道に落ち散って、
生暖かい風に青臭い匂いがあった。 「先生は自覚しているんだろうか。」 「家族の人....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
、乗鞍岳の左肩に、御嶽は円錐形の傾斜を長く引いて、弱い紺色に日を含んだ萌黄色が、
生暖かい靄のように漂っている、どこからか鶯が啼く、細くうすッぺらな、鋭利な刃物で....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
「喜雀堂に入る」――僕はペンを持ったまま、その度にこんな言葉を思い出した。 或
生暖かい曇天の午後、僕は或雑貨店へインクを買いに出かけて行った。するとその店に並....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た。二人はたがいに何にも言わなかった。三十分もたつと、ある苺《いちご》車の上から
生暖かい風が吹き送ってくる酔わすような匂いに、クリストフはうっとりとなって、小声....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
で夢想をつづけるためだった。 四月の天気は温和で霞《かす》んでいた。銀色の霧の
生暖かい帷《とばり》越しに、緑の小さな木葉《このは》がその新芽の蕾《つぼみ》を破....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
く立っていると、準之助氏は、さっき坂を下るとき、手を取ってやった新子の雨にぬれた
生暖かい肌の感触が、ゾッとするほど、心の中に生き返って来た。 夕立は、その始ま....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
ってそこ迄行ったのであった。詐欺師と邂逅ったロハ台へ、私は一人で腰をかけていた。
生暖かい夜風、咽るような花の香、春蘭の咲く季節であった。噴水はすでに眠っていた。....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
顔や全身に、さざ波のようにちらつかせていた。大気はひっそりしていた。ただかすかな
生暖かいそよ風が、眠たそうな葉並みを時おりさやさやとそよがせて、花をつけた野の草....
「いなせな縞の初鰹」より 著者:北大路魯山人
やたらに名物として宣伝したので、私の目にはグロであり、下手ものである。焼きたての
生暖かいのを出されては、なんとなく生臭い感じがして参ってしまう。しかし、土佐づく....
「春心」より 著者:田中貢太郎
うでございますとも、神様がお出ましになったら、雨でございましょうよ」 「今朝から
生暖かい、どうも天気が落ちたと思ってたが、やっぱりそうだったか」 「御神酒をあげ....