生臭[語句情報] » 生臭

「生臭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

生臭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
船員たちが、ぬれた傘《かさ》を光らしながら駆けこんで来た。その騒ぎの間に、一種|生臭《なまぐさ》いような暖かい蒸気が甲板の人を取り巻いて、フォクスルのほうで、今....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
ちょっと》動かして妻を呼んだ。 彼れは妻に手伝わせて馬の皮を剥《は》ぎ始めた。生臭い匂が小屋一杯になった。厚い舌をだらりと横に出した顔だけの皮を残して、馬はや....
星座」より 著者:有島武郎
道を下りてきた。孵化場《ふかじょう》から今帰りがけのところとみえて、彼が近づくと生臭い香いがあたりに香った。ぼんやりした黒い影が清逸の後ろに突っ立った。 「今ご....
軍用鮫」より 著者:海野十三
こわすか、その実践的手段であった。楊《ヤン》博士は、はたと行き詰って、しばらくは生臭い大きな掌でもって頭をぐるぐる撫でまわし、そして左右の目くそを払いおとした。....
人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
《あかり》が、夢のようにボンヤリ潤《うる》み、部屋のうちまで、上海の濃霧に特有な生臭《なまぐさ》い匂いが侵入していたのであった。 その日の午前五時には本部から....
」より 著者:岡本かの子
。同じような白い身の魚の鮨が握り出された。 母親はまず最初の試みに注意深く色と生臭の無い魚肉を選んだらしい。それは鯛と比良目であった。 子供は続けて喰べた。....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
なって小さな部屋を吹雪から守るように見えた。温まるにつれて、君の周囲から蒸れ立つ生臭い魚の香は強く部屋じゅうにこもったけれども、それは荒い大海を生々しく連想させ....
爬虫館事件」より 著者:海野十三
人の前に突立っていた。 3 扉を押して入ると、ムッと噎せかえるような生臭い暖気が、真正面から帆村の鼻を押えた。 小劇場の舞台ほどもある広い檻の中に....
灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
の液体が、ところかまわずベタベタと一面にこぼれており、それがまたなんとも言えない生臭いような臭気をさえ、室中に漂わせているのだ。 三 「……わから....
食魔」より 著者:岡本かの子
家鴨の肉の截片を入れてちょっと煮込んで食べるのだが、鼈四郎は味見をしてみるのに血生臭いことはなかった。巴里の有名な鴨料理店の家の芸の一つでまず凝った贅沢料理に属....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
は遂に新吉に故郷東京を忘れさせ今日の追放人にするまで新吉を捉えた。家庭旅宿の留学生臭い生活を離れて格安ホテルに暫らく自由を味ってみたり、エッフェル塔の影が屋根に....
アド・バルーン」より 著者:織田作之助
きがありました。 坂を降りて北へ折れると、市場で、日覆を屋根の下にたぐり寄せた生臭い匂いのする軒先で、もう店をしもうたらしい若者が、猿股一つの裸に鈍い軒灯の光....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
ありですな」 僧はそれを聞いて安心したふうで頭に手をやり ――いや、まことに生臭坊主で」 僧は流石に笠を冠って大門の中へ入って行った。国太郎の心には不思議....
ひとりすまう」より 著者:織田作之助
怖くないでしょう?」と、盞をぼくの手に渡した。ぼくは一口にぐっとのんでしまった。生臭いにおいがプンとして、はき気を催しそうだった。ぼくがそれをのんだのは、「怖く....
黒猫十三」より 著者:大倉燁子
え自由にならないのに、膝頭だけががくがくと震えて起ち上る力さえぬけてしまった。血生臭い香がプンと鼻をうつ。 軈て、少しく気が落ち付いてくると、恐いもの見度さに....