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産衣
「産衣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
産衣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老ハイデルベルヒ」より 著者:太宰治
半纏《はんてん》、玩具の汽車、蚊帳《かや》、ペンキ絵、碁石、鉋《かんな》、子供の
産衣《うぶぎ》まで、十七銭だ、二十銭だと言って笑いもせずに売り買いするのでした。....
「父」より 著者:太宰治
でなくても乏しかった衣類の、大半を、戦火で焼いてしまったので、こんど生れる子供の
産衣《うぶぎ》やら蒲団《ふとん》やら、おしめやら、全くやりくりの方法がつかず、母....
「大島が出来る話」より 著者:菊池寛
された。 「富井さん、之は姉が、貴方のお子さんに上げる積《つもり》で買って来た、
産衣《うぶぎ》だそうです。丁度、発病する日の朝、松屋で買って来たのだそうです、姉....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
かくしてお前は、始めてお前自身に立ち帰ることが出来るだろう。この世に生れ出て、
産衣を着せられると同時に、今日までにわたって加えられた外界の圧迫から、お前は今始....
「わが町」より 著者:織田作之助
さかい」 おたかは言った。 別れて、病院へ戻ると、夜、君枝は次郎の寝台の傍で
産衣を縫うた。七ヵ月さきに生れるとの産婆の言葉だった。 次郎は見て眼が熱くなり....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
やかに瞬いている。一段高い床間には楯無しの鎧が飾ってある。――月数。日数。源太が
産衣。八竜。沢瀉。薄金。膝丸。そこへ楯無しを一領加えて源氏八領と総称し、武門に連....
「帰去来」より 著者:太宰治
妙に小説を書いて、二年後には女の子が生れた。北さんも中畑さんもよろこんで、立派な
産衣を持って来て下さった。 今は、北さんも中畑さんも、私に就いて、やや安心をし....
「黴」より 著者:徳田秋声
た筆をおいて、笹村はふと想い出したように家の方へ行って見た。入って行くと、子供は
産衣そのままの姿で、蚤を避けるために、風通しのよい窓の側に取り出した一閑張りの広....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
古里の桑盛の家で生れたら、絹の蒲団に寝かせて、乳母を二人も三人もつけて、お祝いの
産衣が四方から山ほど集り、蚤一匹も寄せつけず玉の肌のままで立派に育て上げる事も出....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
着物まで知って居りますよ。絣のその着物は、今お母さんが召していらっしゃる。そして
産衣《うぶぎ》の黄色いちりめんの袖まで見ている、いかがです? 私の赤いふりそでの....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
み深き聖母はわが母、三人の使徒はわが兄弟、三人の童貞女《おとめ》はわが姉妹。神の
産衣《うぶぎ》にわが身体は包まれてあり、聖マルグリットの十字はわが胸に書かれたり....
「山の人生」より 著者:柳田国男
いてこれを信徒に頒与するまでの理由にはならぬ。岐阜県の或る地方では以前は山の神の
産衣と称して長さの六七尺もある一つ身の着物を献上する風があったというが、今はいか....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
んでいるかのような恰好して、おせいは、下宿の子持の女中につれられて、三丁目附近へ
産衣の小ぎれを買いに出て行った。――もう三月一日だった。二三日前に雪が降って、ま....
「わが町」より 著者:織田作之助
た。男なら一服吸うてというところを、その足で直ぐ病院へ戻り、夜、次郎の寝台の傍で
産衣を縫うた。七ヶ月さきに生れるとの産婆の言であった。 次郎は見て眼が熱くなり....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
ても、騒いでも、若様のお姿はそこにはない、おくるみに包まれて眠っているのは汚ない
産衣を着た松吉で、達也様は花の手にしっかりと抱かれ、泣きもせず、もう先へ逃げてし....