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用心深い
「用心深い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
用心深いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
妬《しっと》深い聞き耳を立てた。それはこの時戸の向うに、さっき彼が聞いたような、
用心深い靴の音が、二三度|床《ゆか》に響《ひび》いたからであった。
足響《あし....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
時にその話をすると、外記は面白そうに笑っていた。 「おれも悪旗本かも知れないよ」
用心深いお時おやこと正直なお米との間に秘密は固く守られて、くるわに近いこの隠れ家....
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
。下駄のないところを見ると素足で来たに違いない。どうして素足でここへ来たか、平生
用心深い子で、縁側から一度も落ちたことも無かったのだから、池の水が少し下がって低....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
子は叫び出しそうになったが、さすがにかつての人気女優だった。やっとこらえて、十分
用心深い表情のまま、じっと車の方向を見つめていた。 阿倍野橋から二町も行った頃....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の腕を取った。取られた腕を振り払って、式部はふところに忍ばせてある匕首をぬいた。
用心深い半七は彼が必死の切っ先に空を突かせて、刃物を十手でたたき落した。 式部....
「地球盗難」より 著者:海野十三
顔(……おお、やはり、ドクトル、シュワルツコッフだ)太い洋杖を持ったドクトルは、
用心深い眼を光らせ、忍び足で室内に入ってきた。 (何をするつもりだろう) ドク....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
林の隠れ家から例のせつなげなソプラノを唄い出したのだ。それを聞きつけた気の利いた
用心深い私服巡査の一人が、近寄ってバチバチと手を拍いた。すると「歌姫」は瞬間唄い....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
人は、坂本さんの戯画の材料をあなたから出てるとでも思ってるか知れませんよ。そして
用心深いから身辺を用心する為めにあなたを敬遠しちまったのかも知れませんよ。」 ....
「時代色」より 著者:岡本かの子
も青眼に直視せよと言うのである。然らざれば生活の足を踏み滑らす。 リアリズムの
用心深い足取りで生活の架け橋を拾い踏み渡りながら、眼は高い蒼空の雲に見惚れようと....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
のいちばん上等な場所を占領して、二本の小さなふるえる手を火にかざした。 親方は
用心深い、経験に積んだ人であるから、その朝わたしが起き出すまえに道中の食料を包ん....
「鷲」より 著者:岡本綺堂
ございましよう。」 「むむ。」と、弥太郎は再び空をみあげた。「あいつらもなかなか
用心深いから、日が高くなっては姿をみせないものだ。大抵は朝か夕方に出て来るのだか....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
を見つめ、あたかも心のなかで何か疑いごとを思案しているようであった。彼はいわゆる
用心深い人で、笑うのはしっかりした理由があるときだけ、すなわち、理窟と法則とにか....
「審判」より 著者:カフカフランツ
るように、あなたも私に秘密なことを打明けてくださるんですよ」 「あなたはたいへん
用心深いな」と、Kは言った。「だが、あなたを完全に安心させるにちがいない秘密をひ....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
働く余地を与えたのだった。バアリイは彼女の選り抜きの助力者で、彼女の御意にかなう
用心深い御用掛でもあったが、そのバアリイさえ、女主人の本心がどこにあるかの謎を解....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
ある。そんなとき、じっと静かにして見ていると、比較的細長い躯を軽々と枝にささえ、
用心深い顔をあたりにくばる。落ち残った紅葉の間から躯のこなしを様々にかえる。その....