田の面[語句情報] »
田の面
「田の面〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
田の面の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「癩」より 著者:島木健作
を、捕われた後に、太田は取調べの間に知ったのである。 太田の印象に残っている岡
田の面貌はそうはっきりしたものではなかったし、それに岡田は三・一五の検挙には洩《....
「雪の白峰」より 著者:小島烏水
魅せられるであろう、水を打ったように粛《し》んみりとした街道の樹も顫《ふる》え、
田の面の水も、慄然《ぞっ》として震えるような気がするであろう。 自分は甲斐|精....
「蘆声」より 著者:幸田露伴
った。 心身|共に生気に充ちていたのであったから、毎日※の朝を、まだ薄靄が村の
田の面や畔の樹の梢を籠めているほどの夙さに起出て、そして九時か九時半かという頃ま....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
筒袖という小作人らしい風体で、女の機嫌を取り取り籾の俵を造っていた。そのあたりの
田の面には、この一家族の外に、野に出て働いているものも見えなかった。 古い釜形....
「空襲警報」より 著者:海野十三
。 「おい沼田。まだ休暇の時間中だぞ、迎えが早すぎる」 「ああ、中尉どの」 沼
田の面はひきしまっていた。 「そうでありますが、非常呼集の連隊命令であります。サ....
「死者の書」より 著者:折口信夫
今の間にどしどし績んで置かいでは――。 乳母の語に、若人たちは又、広々として野や
田の面におり立つことを思うて、心がさわだった。そうして、女たちの刈りとった蓮積み....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
が初め悪いことでもしはしまいし、何という無理な厭味を言う、と、今更に呆れたが、長
田の面と向った、無遠慮な厭味は年来耳に馴れているので尚お静と耐えて、 「君と青山....
「丘の上」より 著者:豊島与志雄
手に、六七人の農夫が佇んで、じっとこちらを眺めていた。雨は止んで、かすかな風が稲
田の面を吹いていた。 それから、二つ三つ停車場を通り過ぎるうちに、曇り日の淡い....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
んだ。 「オーカミイナリだ! あれと同じだ! 神の矢で一うちに殺されている! 猿
田の面をかぶされている! あのタタリが十五年間、まだとけていなかったのだ」 ....
「純情狸」より 著者:佐藤垢石
み、星明かりをたよりに、野路を東箱田の方へ帰ってきた。 折柄、浅間|颪が寒く刈
田の面に吹き荒んで、畑では桑の枯枝が、もがり笛のように叫び鳴く。青年は袷の襟を押....
「米」より 著者:犬田卯
運び、黙ってその口をあけ、そして灰桶へあけては、ばらばらと由次と勝が掻きならした
田の面でばら撒きはじめた。 ぷんとその匂いがおせきの鼻を打った。気持をそそる肥....
「殺人迷路」より 著者:佐左木俊郎
を剥ぐことが出来たとは云え、彼はみじめな気持を味わわずにはいられないのだった。星
田の面皮を剥いだのが、彼自身であったら、彼はどんなに朗かになれたろう。又、それが....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
ぽっちり入った結構らしいのを、畳の上へ辷らすようにして客の前に推して据えた、高島
田の面長で色の白い、品の可い、高等な中形の浴衣、帯をお太鼓に結んだ十九ばかりの美....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
江東子に、獲物を見せて愕かし呉るるも一興なり。など空想を描きつつ窓によりて進む。
田の面一般に白く、今を盛りと咲き競うは、中稲にやあらん、田家の垣には、萩の花の打....
「ある夜の星たちの話」より 著者:小川未明
水も、止まって動きませんでした。みんな寒さのために凍ってしまったのです。そして、
田の面には、氷が張っていました。 「地球の上は、しんとしていて、寒そうに見えるな....