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田圃
「田圃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
田圃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
して、いきなり繰り戸をあけてデッキに出た。
だいぶ高くなった日の光がぱっと大森
田圃《おおもりたんぼ》に照り渡って、海が笑いながら光るのが、並み木の向こうに広す....
「或る女」より 著者:有島武郎
影を地に落とした。名もない雑木《ぞうき》までが美しかった。蛙《かわず》の声が眠く
田圃《たんぼ》のほうから聞こえて来た。休暇でないせいか、思いのほかに人の雑鬧《ざ....
「星座」より 著者:有島武郎
辞儀を一つする……貰いものの下駄をはく……歩く（ここは長し）……早稲田という所は
田圃《たんぼ》の多いところだ。名詮自称《みょうせんじしょう》だ。……大隈の大きな....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
《はらたちまぎ》れじゃ、無暗《むやみ》と急いで、それからどんどん山の裾《すそ》を
田圃道《たんぼみち》へかかる。
半町ばかり行くと、路《みち》がこう急に高くなっ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
横手の薄暗い中へ入った。 ざぶり水を注けながら、見るともなしに、小窓の格子から
田圃を見ると、月は屋の棟に上ったろう、影は見えぬが青田の白さ。 風がそよそよと....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
の辻から聞える。……ヤ、そんなにまだ夜は更けまいのに、屋根｜越の町一つ、こう……
田圃の畔かとも思う処でも吹いていら。」 と身忙しそうに片膝立てて、当所なく※し....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
。真赤な達磨が逆斛斗を打った、忙がしい世の麺麭屋の看板さえ、遠い鎮守の鳥居めく、
田圃道でも通る思いで、江東橋の停留所に着く。 空いた電車が五台ばかり、燕が行抜....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
見たり、目の前に茅葺が顕れたり、そうかと思うと、足許に田の水が光ったりする、その
田圃も何となく、大な庭の中にわざと拵えた景色のような、なだらかな道を通り越すと、....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
へ後へと退って、位牌堂へ飛込んで、そこからお前壁の隅ン処を突き破って、墓原へ出て
田圃へ逃げたぜ。その替り取れようとも思わねえ大変なものをやッつけた。今でもお前、....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
する。揉みに揉んで、太刀と長刀が左右へ開いて、尺八が馬上に跳返った。そのかわり横
田圃へ振落された。 ただこのくらいな間だったが――山の根に演芸館、花見座の旗を....
「諸国の玩具」より 著者:淡島寒月
位で、その藪を開いて例の「万国一覧」の覗眼鏡の興行があったのです。今の五区の処は
田圃でしたから今の池を掘って、その土で今の第五区が出来たというわけで、これはその....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
居るのッて。何とおいいでも肯分けないものだから母様が、 （それでは林へでも、裏の
田圃へでも行って、見ておいで。なぜッて、天上に遊んでいるんだから、籠の中に居ない....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
人奴等、勝山のお嬢さん、今じゃあ柳屋の姉さんだ、それでも柳橋｜葭町あたりで、今の
田圃の源之助だの、前の田之助に肖ているのさえ、何の不足があるか、お夏さんが通るの....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
でね、直ぐ上へ出りゃ久堅の通りだし、家の数も多いけれど、一寸のばしに下へ下りて、
田圃とお薬園の、何にもまだ家のなかった処を通って、氷川の坂へ、むかしの事をおもい....
「活人形」より 著者:泉鏡花
。こは怪やと不気味ながら、その血の痕を拾い行くに、墓原を通りて竹藪を潜り、裏手の
田圃の畦道より、南を指して印されたり。 一旦助けんと思い込みたる婦人なれば、こ....