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由緒
「由緒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
由緒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「捨児」より 著者:芥川竜之介
ん。ただ日朗上人《にちろうしょうにん》の御木像があるとか云う、相応《そうおう》に
由緒《ゆいしょ》のある寺だそうです。その寺の門前に、明治二十二年の秋、男の子が一....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
しょに、神信心を始めたではないか? それも熊野《くまの》とか王子《おうじ》とか、
由緒《ゆいしょ》のある神を拝むのではない。この島の火山には鎮護《ちんご》のためか....
「或る女」より 著者:有島武郎
た。そして葉子が久しぶりで汽車の中で出あった今は、妻子を里に返してしまって、ある
由緒《ゆいしょ》ある堂上華族《どうじょうかぞく》の寄食者となって、これといってす....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
くするために、新たに開いた道だそうで、傾いた茅の屋根にも、路傍の地蔵尊にも、一々
由緒のあるのを、車夫に聞きながら、金鶏山の頂、柳の館あとを左右に見つつ、俥は三代....
「転機」より 著者:伊藤野枝
れた。しかし、少数の強硬な反対者だけはどうしても肯んじなかった。彼等は祖先からの
由緒をたてに、官憲の高圧的な手段に対しての反抗、または買収の手段の陋劣に対する私....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
どの家も、かッと陽気に明い中に、どこか一個所、陰気な暗い処が潜んで、礼儀作法も、
由緒因縁も、先祖の位牌も、色も恋も罪も報も、三世相一冊と、今の蛇一疋ずつは、主に....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
ということを、かつて教を受けた学生は皆知っている。若山は、昔なら浪人の手習師匠、
由緒ある士がしばし世を忍ぶ生計によくある私塾を開いた。温厚|篤実、今の世には珍ら....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
と裏の小高い丘には、松が一本、野を守る姿に立って、小さな墓の累ったのが望まれる。
由緒ある塚か、知らず、そこを旅人の目から包んでいた一叢の樹立も、大方切払われたの....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
浦家へ嫁入りする折のことでございました、母は一振りの懐剣を私に手渡し、 『これは
由緒ある御方から母が拝領の懐剣であるが、そなたの一|生の慶事の紀念に、守刀として....
「京のその頃」より 著者:上村松園
もあったのを記憶してる。後ろにはお婆さんがいた。見れば人品も卑しくない。屹度元は
由緒ある人の落ちぶれたものに相違ないとも思わせた。 こうしたしんみりした味など....
「中支遊記」より 著者:上村松園
玉板であるとか、あまり風懐に富んでもいない石仏とか、いずれは考古学上にはそれぞれ
由緒あるものであろうが、おかしな言い方であるが、妙に重いもの、かさばるものばかり....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
にしているお雛様がありますよ。 十軒店で近頃出来合の品物じゃあないんだそうで、
由緒のあるのを、お夏さんのに金に飽かして買ったって申しますがね、内裏様が一対、官....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
南の臥竜の南枝にかけて、良き墨薫る手習草紙は、九度山の真田が庵に、緋縅を見るより
由緒ありげで、奥床しく、しおらしい。憎い事、恋の手習するとは知れど、式部の藤より....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
く、銅像の覆掛った事は云うまでもない。 「……玩弄品?」 「怪しからんことを――
由緒は正しく、深く、暗く、むしろ恐るべきほどのものだよ。」 と、片手に撓めて、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
得物を携え、鉢巻しめて動揺めくは、田舎茶番と見えにけり。 女房は独り機嫌悪く、
由緒なき婦人を引入れて、蒲団は汚れ畳は台無し。鶏卵の氷のと喰べさせて、一言の礼も....