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甲高
「甲高〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
甲高の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
った。が、反ってお鳥には一層苛立たしさを与えるらしかった。甲野は髪を結びながら、
甲高《かんだか》いお鳥の声を聞き、いつか彼女の友だちが話した或女のことを思い出し....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
ゅう》を構えていた。芸者は時々|坐《すわ》ったなり、丁度胡弓の音に吊られるように
甲高い唄《うた》をうたい出した。それは僕にも必ずしも全然面白味のないものではなか....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
んずん進んでいた。と思うと乳ほどの水の中に立ち、もう一人の少女を招きながら、何か
甲高《かんだか》い声をあげた。その顔は大きい海水帽のうちに遠目《とおめ》にも活《....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
まないというような顔つきをしていた。それが下りて行くと、妻はそとへも聴えるような
甲高な声で、なお罵詈罵倒を絶たなかった。 「あなたは色気狂いになったのですか?―....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
けると、ソッと押してみた。 ギギギギギイ。 鉄格子には狂いが来ているらしく、
甲高い金属の擦れあう音がして、僕の肝を冷やりとさせた。 こいつはいけない! と....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
なった女房が番台から裾を乱して飛び降りて来るなり、由蔵の駆けて入った釜場の扉口で
甲高い叫びを発した。 「大変です。お前さん、大変ですよお!」 続いて太い男の声....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
呻りをあげ激しい勢いで重油がエンジンに噴きこまれて行った。ビューンとタービンは、
甲高い響をあげて速力を増した。機関室の温度計の赤いアルコール柱はグングン騰って行....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
ないようにね」 事務員は停車場の中へ馳け込んで行った。 間もなく電話のベルが
甲高く鳴り響き、壊れかかった遮断機が上って、瀕死の怪我人を乗せた紳士の幌型自動車....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
らく黙っていた。暗号を自分で解いているらしかった。 「事務長をよべ」艇長の声は、
甲高い。 「艇長、お呼びでしたか」 「うん。本社からの秘密無電だ。えらいことにな....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ろどころ危つかしい難所だと思ったこともございました。又道中どこへ参りましても例の
甲高い霊鳥の鳴声が前後左右の樹間から雨の降るように聴えました。お爺さんはこの鳥の....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
と、窃と跫音を忍んで、光やは、二階を下りましたっけ。 お恥しゅうございますわ。
甲高かったそうで、よく下まで聞えたと見えます。表二階にいたんですから。 (何んだ....
「北穂天狗の思い出」より 著者:上村松園
おくれ咲きの山桜や山吹とともに何ともいわれぬ残春の景趣を横溢させている。山の声は
甲高い馬子や一行の話声と小鳥のやさしい語らいと、時々人気に驚いて熊笹をゆすって逃....
「青い風呂敷包」より 著者:大倉燁子
して、 「放っちゃっておきよ。ゴリラなんか――、構わないでおけば帰っちまうさ」と
甲高い声で云い放った。 「酷いことを云うなよ。僕は遠慮するとしよう」客は不快な顔....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
同はうなずいた。 「あら、まあ、何んて大きな観音様でしょう」とびっくりしたような
甲高い声がした。それは二三人の貴夫人連であった。 「お立派な観音様、これはね、先....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
汽は静かに動き出した。すると大勢の客の中に忽ち「毎度御やかましうございますが」と
甲高い声を出しはじめたのは絵葉書や雑誌を売る商人である。これもまた昔に変っていな....