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男勝り
「男勝り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
男勝りの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「猫の踊」より 著者:田中貢太郎
備後の家に、そんなことがあると聞えては主人の威信にも関すると思った。賢明な彼女は
男勝りのしっかりしたその腹の中へ、それをしまい込んで何人《たれ》にも話さなかった....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
こには支倉の姿はなかった。箪笥の前に小柄な女が佇んでいた。年の頃は二十七、八で、
男勝りを思わせるような顔は蒼醒めて、眼は訴えるように潤んでいた。 「奥さん」 ....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
、こういう疑いが可成濃厚や、ちゅう事を子爵家に報告しました。 すると、子爵家に
男勝りの乳母がいましてな。おせいちゅうんだすが、この人が表向き和明ちゅう子の乳母....
「愚人の毒」より 著者:小酒井不木
と逓信省の官吏を務めていたのですが、いまから十五年前に相当の財産を残して死去し、
男勝りの未亡人は三人の子を育てて、他人に後ろ指一本指されないでいままで暮らしてき....
「母への追慕」より 著者:上村松園
くなければ、私と私の姉の二児を抱いて独立してゆけなかったからである。 母の
男勝りの気性は、多分に私のうちにも移っていた。 私もまた、世の荒浪と闘って独立....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
囲まれ切り込まれた。 「まだ来る気か!」と女ながらも、田宮流の小太刀を使っては、
男勝りの手練の女丈夫、しかし獲物は懐剣であった、相手の脇差は受けられない、そこで....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
が揺らめいて、土間の上の男女の二つの影を物の怪のように顫わしている。気象の勝った
男勝りのお粂が何ゆえにそのように弱々しそうに咽び泣きなどをはじめたのであろう? ....
「地上」より 著者:島田清次郎
にめぐる血に異様な恐ろしさを感じずにいられなかった。父はお光をも愛したが、勝気で
男勝りな、強い綾子の、豊麗な少女と成長して行くのにある希望を見出していた。 三....
「円太郎馬車」より 著者:正岡容
びついてゆくと、濡れた両端をソーッと持ち上げ、縁側まで持っていって、日に当てた。
男勝りのクッキリした、横顔が朝日を浴びて、薔薇色にかがやいていた。 「すみません....
「わが母を語る」より 著者:上村松園
竹を割ったような性格 私の母は、一口にいうと
男勝りな、しっかり者でしたな。私は母の二十六歳の時生まれ、四つ年上の姉が一人だけ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
国の仇、城を二十重に囲まれたれば、責殺されんそれまでも、家は出でずに守るという。
男勝りの心に恥じて、強いてとも言い難く、さればとてこのままにては得三の手に死ぬば....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
ったこと、殊に水田地方の農業において、それが至難であったということである。いくら
男勝りの寡婦だと言っても、到底女の手に合わぬ力わざが米作には多かった。その中でも....