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男心
「男心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
男心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
たか、――その訳が彼女には呑みこめなかった。勿論お蓮は何度となく、変り易い世間の
男心に、一切の原因を見出そうとした。が、男の来なくなった前後の事情を考えると、あ....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
になつかしく感じながら微笑した。 「兵児帯のおチマ」と名乗る不良少女などにふと、
男心めいたなつかしさを抱くとは、留置場にいれば人恋しくなるせいだろうか。 いや....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
金子七百両がなくば義理をうけたお家さまから手が切れぬとこのように申しましたゆえ、
男心がほしいばっかりにその七百両をこしらえようと、このような人騒がせのまねする気....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
乗り給え、アーサーの養える名高き鷹《たか》を獲て吾|許《もと》に送り届け給えと、
男心得たりと腰に帯びたる長き剣《つるぎ》に盟《ちか》えば、天上天下に吾志を妨ぐる....
「爛」より 著者:徳田秋声
いわけに行かなかった。いつ棄てられても、困らないことにさえしておけば、欲に繋がる
男心の弱味をいつでも掴んでいられそうに思えた。お増は自分の心の底に流れている冷た....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
わき出でたるを覚えつ。遠洋航海より帰り来て、浪子のやせしを見たる武男が、粗豪なる
男心にも留守の心づかいをくみて、いよいよいたわるをば、いささか苦々しく姑の思える....
「清貧の書」より 著者:林芙美子
泪《なみだ》ぐまずにはいられなかった。「またこの男も私から逃げて行くのだろうか」
男心と云うものは、随分と骨の折れるものだ。別れた二人の男達も、あれでもない、これ....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
に対する心の清さを失いました。そして Dirne のような女を見ると、私はずるい
男心を呼び起こされます。そしてそれを当然のことと思うように馴らされそうですから、....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
頼みたし。 下 若木三寸で螻蟻に害う 世の中に病ちょう者なかりせば
男心のやさしかるまじ。髭先のはねあがりたる当世才子、高慢の鼻をつまみ眼鏡ゆゝしく....
「孤独者の愛」より 著者:豊島与志雄
のであろうか。 そういうことが、私の感傷を甘やかすのである。言い換えれば、私の
男心をそそのかすのである。男嫌いということを、決定的な、本質的なものだとは、誰も....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
かず、美和子はペコリと頭を下げた。 いかにも、あどけない少女らしく見えていて、
男心を捕えるのに妙を得て、奔放自在、しかもどっかに才気の閃きを見せて艶冶である、....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
るに、爾来《じらい》両人の間の応答いよいよ繁く、果ては妾をして葉石に懲《こ》りし
男心をさえ打ち忘れしめたるも浅まし。これぞ実《げ》に妾が半生を不幸不運の淵《ふち....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
|湿気《しっけ》の多い東京の天気に対して全然信用を置かぬからである。変りやすいは
男心に秋の空、それにお上《かみ》の御政事《おせいじ》とばかり極《きま》ったもので....
「頸の上のアンナ」より 著者:神西清
が自分の引け目になるどころか、それが却って得も言われぬ強烈な神秘の影を生み出して
男心を妖しくそそるものであることを、本能的に見破るのであった。 大広間にはもう....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
ていましたが、なお頤から首筋の真白で柔らかそうな、ふっくらとした美しさは、浮気な
男心をそそるに充分な魅力を見せて居りました。 眩しい照明に輝く大広間は、壁も天....