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「町育ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

町育ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
ました」 それにつけても、第一に案じられるのは、男の身の上であった。お染は京の町育ちで、もとより武家の掟《おきて》などはなんにも知らなかったが、こうして人間一....
新生」より 著者:島崎藤村
通過ぎる俥《くるま》のひびきすらしなかった。 「父さん、汽車の音がする」 と下町育ちの子供等は聞耳を立てた。品川の空の方から響けて伝わって来るその汽車の音は一....
幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
方でないことは、チャーンと存じ上げておりました。成程奥様は御器量よしで、さすが下町育ちだけあって万事に日本趣味で、髪なぞもしょっちゅう日本髪でお過しになりました....
縮図」より 著者:徳田秋声
板借りの姐さんと銀子が、一番忙しい方だった。浜龍は東金の姉娘の養女で、東京の蠣殻町育ちだったが、ちょっと下脹れの瓜実顔で、上脊もあり、きっそりした好い芸者だった....
足迹」より 著者:徳田秋声
出て行った。 だだッ広い茶の室では、大きな餉台がまだ散らかったままであった。下町育ちらしい束髪の細君が、胸を披けて萎びた乳房を三つばかりの女の子に啣ませている....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
物だろうと考えて見たが、分らない。或は黒人《くろうと》上りかとも思ってみたが、下町育ちは山の手の人とは違う。此処のお神さんも下町育ちだと云う。そういえば、何処か....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
でにいう。ちょうどこの時代――この篇、連載の新聞の挿絵受持で一座の清方さんは、下町育ちの意気なお母さんの袖の裡に、博多の帯の端然とした、襟の綺麗な、眉の明るい、....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
は外れたらしい。女とすればやはりお菊であろうか。たとい石燈籠を足がかりにしても、町育ちの若い娘がこの高塀を自由自在に昇り降りすることは、とても出来そうには思われ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
、何ていいんだろ」、あなたこなた眺めつつ二時間も歩き、健坊は臆病もので、いかにも町育ちらしく、山の小路が坂になっていたり、崖だったりすると尻ごみして「かアちゃん....
阿部定という女」より 著者:坂口安吾
が、お定さんは極めて当り前な、つまり、一番女らしい女のように思われます。東京の下町育ち、花柳界や妾などもしていましたから、一般の主婦とは違っていますが、然しまア....
青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
はすんだけれども、巡業から戻ってくるたび、毎日のようにやってくる。 墨田川は下町育ちだから理づめの相撲で、突っぱって寄る、筋骨質でふとってはいないけれど腰が強....
わが寄席青春録」より 著者:正岡容
ふく》して再び宝塚へ帰ってきたが、二年のち、やっぱり別れた。その理由はかつて「下町育ち」という小説の中で書いたからここではいわない。ただそのおしまいまでプラトニ....
草紅葉」より 著者:永井荷風
するめ》とに、少々|甘《あま》すぎるほど砂糖の入れられていたのも、わたくしには下町育ちの人の好む味《あじわ》いのように思われて、一層うれしい心持がしたのである。....