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町角
「町角〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
町角の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「深夜の市長」より 著者:海野十三
生ける屍に等しい僕の身体を、グングンその悲鳴の発した方角へ引擦ってゆくのだった。
町角を曲ると、果して僕は地上に搦みあっている怪しい人影を見つけた。 「ああ、何で....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
うな怪青年は、目にとまらぬ速さで逃げまわった。街燈が黄色い光を斜になげかけている
町角をヒョイと曲るたびに、 「ソレあすこだ!」 と、怪青年の黒影が、ぱッと目に....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
てきとくれよ、お前さん」 「あいよ、判ってるよ」 亀さんは、また、あたふたと、
町角のパン屋の高声器を目懸けて、かけ出して行った。 パン屋の軒先は、附近の下層....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
、なんとか脱走することである。 そんなことを考え考え前進してゆくうちに、向うに
町角が見えた。私は大きな息を下腹一ぱいに吸いこむと、脱走は今であるとばかり、クル....
「蠅男」より 著者:海野十三
び踵をかえして、臭気が一番ひどく感ぜられた地区の方へ歩いていった。それは丁度或る
町角になっていた。彼はそこに突立ったまま、しばらく四囲を見まわしていたが、やがて....
「脳の中の麗人」より 著者:海野十三
婦長すら満足したほどの治癒程度で、宮川は退院した。 病院の門を出て、彼が一つの
町角を曲ると、そこには洋装の佳人が待っていて、いきなり彼にとびついた。それは外な....
「時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
えば、石造建物のホテルの一等下の角にある石のことじゃないか。あれは南京路に面した
町角だったな。あの礎石が、二日のちの二十六日に大爆発を起すことになると、これはた....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
いぴいであることは僕同然であって、同情にたえないものがある。 僕は一町ほど先の
町角に在る公衆電話までいって、そこから魚戸氏を呼び出そうと思った。 そう思いな....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
た。溝のなかには馬が丸々としたお臀だけを高々とあげて死んでいた。そうかと思うと、
町角に焼けトタン板が重ねてあって、その裾から惨死者と見え、火ぶくれになった太い脚....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、ほんの新開地で。 そこいらに、小川という写真屋の西洋館が一つ目立った。隣地の
町角に、平屋|建の小料理屋の、夏は氷店になりそうなのがあるのと、通りを隔てた一方....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
て呉れた。もう夜中に近づいて居た。おどけたりよろけたりした二人は一寸疲れを休めに
町角の小公園の灌木の間に入って行った。接吻は優しく骨身に滲みたのであった。翌朝ワ....
「京のその頃」より 著者:上村松園
小町娘だった。 その頃の町中はほんとに静かだった。よく人形芝居が町を歩き廻り、
町角には浄瑠璃語りが人を集めてもいた。真似々々といって、その頃評判の伊丹屋や右団....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
に政枝の気分は健康になり、時には明るい興奮さえ頬に登るようになった。 町の人は
町角で――政枝は床に起き直って家の女手に向って頼みに来る千人針を二針三針縫った。....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
て、ただただ馬鹿のように夫に寄りすがるのでした。 ある日のことでした。妻は身を
町角に隠して夫の帰途の様子を覗っておりました。やがて夫は歩いて来ました。そして運....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
けたあと、お礼の置き手紙を書いてその部屋を後にした。 京城の南大門まで来ると、
町角の小さい「ふ屋」に男入用と書いた札がかかっている。とにかく眠る場所と食べる物....