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町風
「町風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
町風の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
る。玄人《くろうと》から見れば素人《しろうと》は不粋である。自分に近接している「
町風《まちふう》」は「いき」として許されるが、自分から疎隔している「屋敷風」は不....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
。老妓はそれまでの指導の礼だといって、出入りの職人を作者の家へ寄越して、中庭に下
町風の小さな池と噴水を作ってくれた。 彼女が自分の母屋《おもや》を和洋折衷風に....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
で手出しをすると腹がたつ、いやな正月である。昔、話に聞いた上海、北京やイタリヤの
町風景と東京も同じになったわけである。しかし、これから先の正月は、更にそれが激化....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
いくだけた感じを与えた。込み合う雑沓の人々も、角袖の外套や手柄をかけた日本髷や下
町風の男女が、目立って交っていた。 人混を縫って歩きながら夜店の側に立ち止った....
「河明り」より 著者:岡本かの子
咽喉もとまで大輪の花の莟のような張ってはいるが、無垢で、それ故に多少寂しい胸が下
町風の伊達な襟の合せ方をしていた。座板へ置いて無意識にポーズを取る左の支え手から....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
たところだ。旧いなじみの多吉夫婦が住む左衛門町の家だ。和助はどうして父がそんな下
町風の家の人たちと親しくするのか何も知らないから、一別以来の話が出たり、飛騨の山....
「家」より 著者:島崎藤村
ネ」 と正太は茶を持って上って来た叔母の髪に目をつけた。お雪は束髪を止して、下
町風の丸髷にしていた。 お雪が下りて行った後で、榊は三吉と正太の顔を見比べて、....
「分配」より 著者:島崎藤村
を並べた肴屋の店がその障子の外に見おろされる。向かい隣には、白い障子のはまった下
町風の窓も見える。そこは私があの山の上から二度目に越して行った家の二階で、都会の....
「黒白ストーリー」より 著者:杉山萠円
が、忽ち眼を丸くして舌をダラリと出した。 インバネスに中折れの苦味走った男と下
町風のハイカラな娘が材木の積み重なった間で話しをしている。 三平は耳を板の間に....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
がくずれて、見るもあさましい形になってはいたが、真新しい明石縮の粋な単衣を着た下
町風の女房だった。しかし見たところ、別に身体の異状はないらしく、ただうつぶせにな....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
の結綿島田に、緋鹿子、匹田、絞の切、色の白い細面、目に張のある、眉の優しい、純下
町風俗のを、山が育てた白百合の精のように、袖に包んでいたのは言うまでもない。……....
「両面競牡丹」より 著者:酒井嘉七
あろうか、真実にわたしによく似た方もあるもの、この人なれば、仲間うちのものが、下
町風に身を※した自分とも思い違えて、こちらの袖に物をかくすほどのことは無理からぬ....
「光は影を」より 著者:岸田国士
を引きたゝせ、みなの食欲を弾ませる術を心得ていた。母は、若い頃の写真でみると、下
町風の美人という型である。日本橋のさゝやかな旅館の娘だつた。父は、これまた青年教....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
小股の締った風采、この辺にはついぞ見掛けぬ、路地に柳の緑を投げて、水を打ったる下
町風。 恍惚と顔を上げ、前途を仰ぐように活々した瞳をぱっちりと※いたが、流を見....