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画布
「画布〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
画布の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
かで生気がある。あだかも緑玉を砕いて棄《す》てたようである。またあだかも印象派の
画布《カンバス》を見るようでもある。僕はわびしい冬の幻相の中で、こんな美しい緑に....
「アッシャー家の崩壊」より 著者:佐々木直次郎
。少なくとも私には――そのときの私の周囲の事情にあっては――この憂鬱症患者が彼の
画布《カンヴァス》の上にあらわそうとした純粋な抽象的観念からは、あのフュウゼリ(....
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
央にのけぞるように倒れている亜太郎の前には、小型の画架に殆ど仕上った一枚の小さな
画布が仕掛けてあり、調色板は乱雑に投げ出されて油壺のリンシード・オイルは床の上に....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
、認める勇気のなかった憧憬が、栄えばえと現われて来る。わが心は画家の絵の具を塗る
画布である。その色素はわれわれの感情である。その濃淡の配合は、喜びの光であり悲し....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
うに)芸術だ。たしかなものは芸術です。わたしはわたしの涙で顔料を溶かします。私の
画布の中にこわれないたしかなものを塗りこみます。 顔蔽いせる者 ここまで来てはも....
「分配」より 著者:島崎藤村
は、どうでもいいじゃないか。どんなものを造り出そうと、お前たちの勝手だからね。」
画布はまだかわかない。新しい絵の具はぬれたように光る。そこから発散する油の香いも....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
っている。それは、土であり石ころであり、粘土であり、ガラスであり、一枚の紙であり
画布である。ただそれへ人間の心が可愛らしく素直に熱心に働いた処に、あらゆる美しき....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
で連なっているのが、厨川朔郎の室である。 然し其処には、不似合に大きな柱時計と
画布や洋画道具の外に、蔵書と蓋の蝶番が壊れた携帯蓄音機があるだけで、朔郎はこの室....
「智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
は、隣室に千疋屋から買って来たばかりの果物籠が静物風に配置され、画架には新らしい
画布が立てかけられてあった。私はそれを見て胸をつかれた。慟哭したくなった。 彼....
「音楽界の迷信」より 著者:兼常清佐
のに出会う。それを見る度にいつも私は異様な感じがする。一人は自分の独創的な芸術を
画布の上に描き出そうという事を理想としている美術学校の学生で、まさかその一生をラ....
「税所敦子孝養図」より 著者:上村松園
身を置いたのであった。 わたくしは、税所敦子女史の、この至高至純の美しい心根を
画布に写しながら、いく度ひとしれず泪をもよおしたか判らなかった。夫の没後、わざわ....
「健康と仕事」より 著者:上村松園
て来たのと、描き出すとこちらが筆をやめようとしても手はいつの間にか絵筆をにぎって
画布のところへ行っているという、いわば絵霊にとり憑かれた形で、とうとう四日三晩ぶ....
「革命の研究」より 著者:大杉栄
場所の広場でやったことを後悔した。そんなことをしたので、ヴェレスチャギンはそれを
画布の上に不朽のものにしたのだ。その後はすべてシュルツセンブルグの牢獄に鎖づけに....
「天才」より 著者:神西清
サヴィチは寝台の後ろにもぐりこんで、顔を真赤にしながらやっとのことで框にはまった
画布を引きずり出す。埃りと蜘蛛の巣で見えない程である。 「そうら……『婚約者と別....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
こうと企てているのは、この世の中で最も美しい女性、それを生きたもの同様な溌剌さで
画布の上に現そうとするのでした。 絵に熱心な若い画家がありました。どうかして老....