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「畑地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

畑地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
ち》に這入《はい》って行った。 大濤《おおなみ》のようなうねりを見せた収穫後の畑地は、広く遠く荒涼として拡《ひろ》がっていた。眼を遮《さえぎ》るものは葉を落し....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
」と、松吉は云った。 なるほど背中合わせに一軒の屋敷があるだけで、右も左も広い畑地であった。近所で訊くと、この下屋敷には六十ばかりの御隠居が住んでいて、ほかに....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
悪いさびしさは想像がつくまい。ニセコアンの丘陵の裂け目からまっしぐらにこの高原の畑地を目がけて吹きおろして来る風は、割合に粒の大きい軽やかな初冬の雪片をあおり立....
親子」より 著者:有島武郎
とマッカリヌプリという山の麓にかけて農場は拡がっているのだ。なだらかに高低のある畑地の向こうにマッカリヌプリの規則正しい山の姿が寒々と一つ聳えて、その頂きに近い....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
みが、元来、彼に潜んでいるためか、探り兼ねるような無表情な声で云って、広い往還を畑地の中へ折れ曲った。其処の蓬若芽を敷きつめた原へ、規矩男は先にたって踏み入った....
転機」より 著者:伊藤野枝
えている。その葦原もまた何処まで拡がっているのか解らない。しかし、左側の生々した畑地に慰さめられて、もうさはど遠くもあるまいと思いながら歩いていった。 「おかし....
真夏の夢」より 著者:有島武郎
た。 物の二十年も臥せったなりのこのおばあさんは、二人のむすこが耕すささやかな畑地のほかに、窓越しに見るものはありませなんだが、おばあさんの窓のガラスは、にじ....
くろん坊」より 著者:岡本綺堂
違するのであるが、お杉の容貌を望んで婿に来たいというのである。もちろん相当の金や畑地も持参するという条件付きであるから、源兵衛夫婦は喜んで承知した。お杉にも異存....
唇草」より 著者:岡本かの子
残したという面影を留めている園芸場で、西南の市外にあった。今は埋められて金蓮花の畑地にした平地の上に架かっている切石の橋や、枝振りよく枯れて立っている亀島の松に....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
出された木目が蓮華を重ねたように並んでいる。誰か退職官吏の邸らしい。この辺がまだ畑地交りであった時分|廉い地代ですこし広く買い取って家を建てたのがいつか町中にな....
錦紗」より 著者:犬田卯
のである。おそらくここまで来るうちに――家を出て五六軒の農家のならぶ往還を通り、畑地へ出て、沼岸へ坂を下りる頃落したのかも知れぬ。彼女はそう考え直して、今度は村....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
ようとしなかった山腹や川沿いの荒地(それなしには傾斜地のことで田の用水は保たず、畑地にあっては、耕土の流亡を免れない場所)それが実は官有地であって、『荒蕪地』と....
」より 著者:犬田卯
着いた。そのとき黄金の光りは此方――丘の裾の長く伸びた耕地にまで輝き渡って来た。畑地の方の薄い靄を含んだ水のような空には、もう雲雀が高く揚って、今日一日の歓喜を....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
三反歩の小作田まで一様に死田化して顧みなかったのだ。 水田ばかりではなかった。畑地をも彼は雑草に一任してしまっていた。親戚のものは、わざわざ何回も「会議」を開....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
するところ、決断するところにあるでしょう。いくら他より観察して貰うにしても「この畑地には比較的野菜を蒔いた方が適するだろう」くらいのところまでしか助言を得られな....