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畔道
「畔道〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
畔道の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
からお島は言出した。「逢ったらどうにかなるでしょう」
二人は藤棚の蔭を離れて、
畔道《あぜみち》へ出て来た。
五十八
父親は奥へも通らず、大きい柱時計や体....
「転機」より 著者:伊藤野枝
、まばらに葦が生えてはいるが、それが普通の耕地であった事は一と目に肯かれる。細い
畔道や、田の間の小溝が、ありしままの姿で残っている。しかし、この新らしい高い堤防....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
もここを貸しますのを、承知する事か、しない事か。便りに思う爺さんだって、旅他国で
畔道の一面識。自分が望んでではありますが、家と云えば、この畳を敷いた――八幡不知....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
が聯渓梅」
「低く地についているやつが泣露梅」
「そら、これが吟風梅だ」
「その
畔道《あぜみち》に小さくなっているのが迷径梅」
「それ践草梅」
「それ胆雲梅」
....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
方がありません。 群衆の中へ追い込まれて、また更に群衆から驚かされた暴れ馬は、
畔道《あぜみち》を、ただもう走れるだけ走っている、その後を米友が懸命に追いかけて....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
うな真暗な夜、降るともつかず、降らないでもない、糠雨の中に、ぐしゃりと水のついた
畔道に打坐って、足の裏を水田のじょろじょろ流に擽ぐられて、裙からじめじめ濡通って....
「鴫つき」より 著者:寺田寅彦
も鴫は居ぬらしい。後の方でダーダーと云う者があるからふりかえると、五、六|間後の
畔道の分れた処の石橋の上に馬が立っている。その後についているのは十五、六の色の黒....
「鶏」より 著者:森鴎外
せた。 田圃の中に出る。稲の植附はもう済んでいる。おりおり蓑を着て手籠を担いで
畔道をあるいている農夫が見える。 段々小倉が近くなって来る。最初に見える人家は....
「土地」より 著者:豊島与志雄
っと冴えていた。 荒地の中には、白や赤や黄の小さな花が方々に咲いていた。稲田の
畔道には、紫雲英《れんげそう》の返り咲きもあった。小川の中や稲田の水口には、小さ....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
頃|新畑町といった所、それからまた田圃であった。 伝法院の庭を抜け、田圃の間の
畔道を真直に行くと(右側の田圃が今の六区一帯に当る)、伝法院の西門に出る。その出....
「採峰徘菌愚」より 著者:佐藤垢石
巣のある方角は分かったのだから、こんどはリレー式で追跡しようということになった。
畔道に三十間ばかりずつ間隔を置いて、勢子の四人は立ったのである。そこで、また帰っ....
「凍雲」より 著者:矢田津世子
はわずかに、陽蔭に汚れたまま残っていた。 女衆は、嫁菜や芹つみに、ずくずくする
畔道や堀の岸に集った。 「仙太さんでねえしか」 女衆は手のひらで額へ陽かげをつ....
「郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
農夫たちが、至るところの畑の中で、戦争のように忙《いそ》がしく働いている。そして
畔道《あぜみち》には、麦を積んだ車が通り、後から後からと、列を作って行くのである....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
でも拾うように読んでいた。壊れた、糸でつないだ眼鏡を、その時だけかけた。 彼が
畔道を、赤くなってツバの歪んだ麦稈帽子をかぶり、心持ち腰を折って、ヒョコヒョコ歩....