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留まる
「留まる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
留まるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
。勿論、その香の、二十世紀であるのは言うまでもない。 お妙は、扉に半身を隠して
留まる。小使はそのまま向うへ行過ぎる。 閑耕は、キラリ目金を向けて、じろりと見....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
に、蒼蠅を一ツ申そう。ボーンと飛んで、額、頸首、背、手足、殿たちの身体にボーンと
留まる、それを所望じゃ。物干へ抜いて、大空へ奪って帰ろう。名告らしゃれ。蠅がたか....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
んよりと青田の村を這うのである。 「ここだよ。ちょうど、」 と宰八はちょっと立
留まる。前途に黒門の森を見てあれば、秋谷の夜はここよりぞ暗くなる、と前途に近く、....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
、はたと留った。 あれ聞け……寂寞とした一条廓の、棟瓦にも響き転げる、轍の音も
留まるばかり、灘の浪を川に寄せて、千里の果も同じ水に、筑前の沖の月影を、白銀の糸....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
と言おう。…… いま立ちしなの身じろぎに、少し引かれて、ずるずると出たが、女が
留まるとともに、床へは落ちもせず、がしゃりと据った。 重量が、自然と伝ったろう....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
を往来した。が、後姿のままで、やがて、片扉開いた格子に、ひたと額をつけて、じっと
留まると、華奢な肩で激しく息をした。髪が髢のごとくさらさらと揺れた。その立って、....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
つづけた。 「死の牙から辛うじて救われた、哀れなる人間よ。ローマ人はお前がここに
留まることを欲しない。お前は人生に疲労と嫌悪とを吹き込むものだ。お前は田畑の蛆虫....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
れはこの苔が持っている、そうね、まあ、あの蜘蛛が虫を捕える糸よ。蟻だの、蚋だの、
留まると遁がさない道具だわ。あなた名を知らないでしょう、これはね、モウセンゴケと....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
目が鰭のように水を捌いて行く、と小波が立って、後を送って、やがて沼の中ばに、静と
留まる。 そのまま葉が垂れると、縋りつく状に、きらきらと水が乗る、と解けるとも....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
離れませぬ。」と、彼は誓った。 両親や妹の菩提を弔うだけならば、必ずしもここに
留まるにも及ばないが、悲しむべく怖るべきはかの髑髏である。 如是畜生発菩提心の....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
先刻の今なり、来客の目覚しさ、それにもこれにも、気臆れがして、思わず花壇の前に立
留まると、頸から爪さきまで、木の葉も遮らず赫として日光が射した。 才子は正面に....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
を阿弥陀に被って、靴を穿いた、肩に画板をかけたのは、いうまでもない、到る処、足の
留まる処、目に触るる有らゆる自然の上に、西洋絵具の濃いのを施す、絵を学ぶ向の学生....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
らず、疲れ切っては、休息しても、元気を恢復すること難し。疲れぬ前に、ちょっと立ち
留まるだけにして、息を大きく吐き、腰を卸さずに、徐々として登れば、苦しきことなく....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
てきたのであった。) 万里長途一物無、唯看春草満。 (万里を行くながい旅路に目に
留まるものもなく、ただ春の草があれはてた野に満ちているのをみるのみである。車窓か....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
。大王はこれを見て果敢に攻撃を行ない敵に一大打撃を与えたけれども、永くベーメンに
留まる事が出来ず、十月中旬シュレージエンに退却冬営に就いた。 しかるに墺軍は一....