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「留り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

留りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
えた事がある。夕月に、あの花が露を香わせてぱッと咲くと、いつもこの黄昏には、一時留り餌に騒ぐのに、ひそまり返って一羽だって飛んで来ない。はじめは怪しんだが、二日....
春昼」より 著者:泉鏡花
方が、うっかり其処へござって、唐突の山仏に胆を潰すと申します。 其処を山続きの留りにして、向うへ降りる路は、またこの石段のようなものではありません。わずかの間....
薬草取」より 著者:泉鏡花
可恐のはおりませんが、一足でも間違えて御覧なさいまし、何千|丈とも知れぬ谷で、行留りになりますやら、断崖に突当りますやら、流に岩が飛びましたり、大木の倒れたので....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
。村のものじゃわい。 晃 どこのものでも差支えん、百合は来たいから一所に来る……留りたければ留るんだ。それ見ろ、萩原に縋って離れやせん。(微笑して)置いて行けば....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
は、人情も義理も、苦労をし抜いて尽しているんだ。……勝手な極道とか、遊蕩とかで行留りになった男の、名は体のいい心中だが、死んで行く道連れにされて堪るものではない....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
すりて逸物を撫廻し撫廻し、ほうほうの体にて遁出しつ。走り去ること一町ばかり、俄然留り振返り、蓮池を一つ隔てたる、燈火の影を屹と見し、眼の色はただならで、怨毒を以....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
「何ですか。お通さんに逢って行けとおっしゃった、あのことですか。」 謙三郎は立留りぬ。 「ああ、そのこととも、お前、軍に行くという人に他に願があるものかね。」....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
い女だよ。」 「はい、容子の可い女で。旦那様は都でいらっしゃいます、別にお目にも留りますまいが、私どもの目からはまるでもう弁天様か小町かと見えますほどです。それ....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
中の中央の極めて好き土地なりしかど、この町は一端のみ大通りに連りて、一方の口は行留りとなりたれば、往来少なかりき。 朝より夕に至るまで、腕車、地車など一輌も過....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
んぐん引張って、かぶりを掉るから、大方、剰銭を寄越そうというんでしょうと思って、留りますとね。 やッと安心したように手を放して、それから向う向きになって、緡か....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
なる。 後がたちまち真暗になるのが、白の一重芥子がぱらりと散って、一片葉の上に留りながら、ほろほろと落ちる風情。 「こりゃ、どうかしているな。」 現と幻との....
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
らちらと雪を染め、染めて、ちらちらと染めながら、ツツと輝いて、その古杉の梢に来て留りました。その青い火は、しかし私の魂がもう藻脱けて、虚空へ飛んで、倒に下の亡骸....
取舵」より 著者:泉鏡花
こそ乗客を置くべき所にして、下等室は一個の溽熱き窖廩に過ぎざるなり。 この内に留りて憂目を見るは、三人の婦女と厄介の盲人とのみ。婦女等は船の動くと与に船暈を発....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ウリ、オヒャラアイ、ヒュウヤ、ヒュールイ、ヒョウルイヒ、と蒼空へ響いて、幽に耳に留りました。 (成程、お囃子ですな。) と腕組をして、おつき合いに天窓を突出し....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
にも故障がなければだが、万一多少の故障があったからッてこれがために多年の夙望を思留りそうもなし、折角意気の旺盛なる目出たい門出に曇影を与うるでもないと思って、多....