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留針
「留針〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
留針の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
のを蓄えている。もとの書生ではない。襟《えり》は卸《おろ》し立てである。飾りには
留針《ピン》さえ肩を動かすたびに光る。鼠の勝った品《ひん》の好い胴衣《チョッキ》....
「野分」より 著者:夏目漱石
ゃ》の外套《がいとう》に恰好《かっこう》のいい姿を包んで、顋《あご》の下に真珠の
留針《とめばり》を輝かしている。――高柳君は相手の姿を見守ったなり黙っていた。 ....
「善の研究」より 著者:西田幾多郎
善は快楽の外にない。而していかなる快楽も同一であって、快楽には種類の差別はない(
留針押しの遊の快楽も高尚なる詩歌の快楽も同一である)、ただ大小の数量的差異あるの....
「少女病」より 著者:田山花袋
春の土に、ちょうど金屏風に銀で画いた松の葉のようにそっと落ちているアルミニウムの
留針。 娘のだ! いきなり、振り返って、大きな声で、 「もし、もし、もし」 ....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
緑色の羅紗の平面を凝視していた。その眩しい緑色の中に、ツイ今しがた発見した黒い、
留針の頭ほどの焼け焦げが、だんだんと小さな黒ん坊の顔に見えて来る……大きな口を開....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
フスボタン。三つボタンは十八金。襟飾は最近流行し初めた緑色の派手なペルシャ模様。
留針は物々しい金台の紅玉。腕輪はニッケルの撥条。帽子は舶来の緑色ベロアに同じ色の....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
こ抜いて、得意そうに皆に見せびらかしました。剣は持主が手入れを怠けたせいか、古い
留針のように尖端が少し錆びかかっていました。 「お前。まだ分ってないんだな。画を....
「傷痕の背景」より 著者:豊島与志雄
糸が、サファイアの指輪をはめたしなやかな白い指先に、やさしく戯れて、編台の上に、
留針に刺されながら、単調だが微笑ましい模様を、形づくってゆく……。 それにも倦....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いなかった。お化粧台の前にいつまでもじっとしていたのも、単なる怠惰からであった。
留針を一本さすにも、そのあとで大儀そうな顰《しか》め顔をちょっと鏡に映しながら、....
「サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
、二人の決闘者は早や劔を合していた。二人は上衣を脱いで頭まで、二本のダイヤモンド
留針のように光っていた。 ブラウンは一生懸命に走った、彼の短かい足は車輪のよう....
「地上」より 著者:島田清次郎
つも感じることだったが)誇らしく感じた。 「今日は遅かったじゃないかい」とお光は
留針をしながら言った。 「今日は博物の寄り合いがあったのです」と彼は嘘を言って、....
「ねむい」より 著者:神西清
、唇ひとつ、うごかすこともできず、まるで顔がかさかさに乾あがって木になって、頭は
留針のあたまみたいに、縮まったような気がする。 「ねんねんよう、おころりよ」と、....