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「番楽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

番楽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旧主人」より 著者:島崎藤村
す。御晩食《おゆはん》の後は奥様と御対座《おさしむかい》、それは一日のうちでも一番楽しい時で、笑いさざめく御声が御部屋から泄《も》れて、耳を嬲《なぶ》るように炉....
山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
ながら、一日の疲労を医す。帰りには、帳場によって、峠を越えてくる人夫を待つのが一番楽しみだ。小包でも着くと大喜びで霞の上に光る星を見ながら、丸木橋を渡ると、白い....
楢重雑筆」より 著者:小出楢重
はカン※スとか、絵の道具とかいった何ものも持たず、ただふらりふらりと歩くことが一番楽しい気持ちである。ところで悲しいことには、山を見ても、海を見ても、家を見ても....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
る。お岩や牡丹燈籠が舞台へ現れるのも夏である。夏は妖怪の世界である。 素人が一番楽しんで絵を描くようである。訪問の新聞記者に対して実業家の夫人達は、ほんとうに....
転機」より 著者:伊藤野枝
らないことが、私にはただもう辛くてたまらなかった。 「そうだね、やはりその道が一番楽でしょう。」 といわれて、また前よりはいっそう冷たく感ずる沼の水の中に足を....
小公女」より 著者:菊池寛
まりました。来る日ごとに用事はふえるばかりでした。フランス語を見てあげるのは、一番楽な仕事でしたが、そのほかお天気の悪い時でもかまわずお使いにやられたり、皆の残....
溺るるもの」より 著者:豊島与志雄
ただ取り留めもない雑談だけで充分だった。 「あたし、あんたとこうしているのが、一番楽しみよ。御免なさい。」 そして彼女は私の肩に頭をもたせかけたり、足を投げ出....
ジャングル頭」より 著者:豊島与志雄
戦争はもうたくさんだ、そういう気持でしてね。黙って、畳をいじって働いてるのが、一番楽しいですよ。 実際彼は、その仕事を心から楽しんでいるらしい。嘗ては彼も、頭....
村芝居」より 著者:井上紅梅
干」が読めることなど頓著なしに寄ってたかって囃し立てる。 わたしがそこにいて一番楽しみにしたのは、趙荘へ行って芝居を見ることだ。趙荘は比較的大きな村で平橋村か....
血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
も、私は即座に承知した。先生の宅へ行って、いろいろ話を聞くという事は、その頃の一番楽しいものの一つだったのである。 その日の夕刊には、もう毛沼博士の事は数行し....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
さきへ、氷山を見るというまでのことである。ただ大洋の汽船で航海しているあいだに一番楽しい瞬間といえば、まず甲板を運動した挙げ句に最後のひと廻りをしている時と、最....
わが妻の記」より 著者:伊丹万作
の衣類が質屋に行つたことも一、二度あつた。昭和八、九年ごろから十三年ごろまでは一番楽な時代で、この間はずつと八百円くらいの月収があつたから、保険をかけ、貯金をし....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
て、京都、奈良、伊勢等の名所古跡を連れて旅をした。 これが恐らく父の生涯での一番楽しい華やかな旅であったろう。 私は十三の可愛い少年。政子姉は十七。種子姉は....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
ません。何の雑念もなくひたすら画の研究にいそしんでおります。筆を持っている時が一番楽しく、貴く、神の心にピッタリ適っているような、大丈夫の心持でございます。絵三....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
と、窓の外の欄干で啼いておりましたっけね。 女子 そのお家にいた頃、お前さんの一番楽しかったことはどんなこと? 少年 楽しかったこと? 女子 今に忘れられない楽....