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番町
「番町〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
番町の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
慨と、軽侮と、怨恨《えんこん》とを満たしたる、視線の赴くところ、麹《こうじ》町一
番町英国公使館の土塀《どべい》のあたりを、柳の木立ちに隠見して、角燈あり、南をさ....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
留めるほどではなかった。が、少からず愛惜の念を生じたのは、おなじ麹町だが、土手三
番町に住った頃であった。春も深く、やがて梅雨も近かった。……庭に柿の老樹が一株。....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
縄暖簾を擦れ擦れに消える蒼い女房、矢絣の膝ばかりで掻巻の上から圧す、顔の見えない
番町のお嬢さん。干すと窄まる木場辺の渋蛇の目、死んだ頭の火事見舞は、ついおもだか....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
◯三月十日に焼けた区域は随分広いらしい。 わかっているものだけでも、九段上、
番町界隈、銀座一丁目より築地ヘ。新橋駅より新橋演舞場の方へかけて、白金台町附近、....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
スル等ノ悪事ヲ行イタリ、右自筆ヲ以テ証明ス。昭和十六年八月十五日、東京都麹町区六
番町二十五番地、旗田鶴彌印”――というんですが、これは如何です」 帆村はメモを....
「古狢」より 著者:泉鏡花
せながら、うしろ姿を送って行く。……その娘も、町の三辻の処で見返った。春|闌に、
番町の桜は、静である。 家へ帰って、摩耶夫人の影像――これだと速に説教が出来る....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
星はなけれど宵月の、朧々の大路小路。辻には長唄の流しも聞えた。 この七の日は、
番町の大銀杏とともに名高い、二七の不動尊の縁日で、月六斎。かしらの二日は大粒の雨....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ル(真珠)と云うレストランに青衿菫衣の好女子ひとりあり、緑扉に倚りて佇めり。 「
番町さん。」 「…………」 「泉さん。」 驚いて縮めた近目の皺を、莞爾……でも....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
や馴々しゅう、 「お米の容色がまた評判でございまして、別嬪のお医者、榎の先生と、
番町辺、津の守坂下あたりまでも皆が言囃しましたけれども、一向にかかります病人がご....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
とを、諸賢に御領承を願っておいて…… わが、辻三がこの声を聞いたのは、麹町――
番町も土手下り、湿けた崖下の窪地の寒々とした処であった。三月のはじめ、永い日も、....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
さんと謂っての、御大身じゃあなかったそうじゃが、歴とした旗本のお嬢さんで、お邸は
番町辺。 何でも徳川様|瓦解の時分に、父様の方は上野へ入んなすって、お前、お嬢....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
へ入って、溜池へ出た。道筋はこうなるらしい。……清水谷公園を一廻りに大通を過ぎて
番町へ帰ったが、吻として、浴衣に着換えて、足袋を脱ぐ時、ちょっと肩をすくめて、ま....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
食通ではなかったが食物の穿議がかなり厳ましかった。或る時一緒に散策して某々知人を
番町に尋ねた帰るさに靖国神社近くで夕景となったから、何処かで夕飯を喰おうというと....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
儲けたそうだ。 今なら三千円ぐらいは素丁稚でも造作もなく儲けられるが、小川町や
番町あたりの大名屋敷や旗下屋敷が御殿ぐるみ千坪十円ぐらいで払下げ出来た時代の三千....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
して声望隆々とした頃の先夫人は才貌双絶の艶名を鳴らしたもんだった。 その頃私は
番町の島田邸近く住っていたので、度々島田夫人と途中で行逢った。今なら女優というよ....