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異境
「異境〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
異境の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ればならなかった。彼の死後プラトンはその師と同じ厄運を免れるために一二年の歳月を
異境に過ごさなければならなかった。それで彼の教えはピタゴラス派と同様イタリアで世....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
年も妻子に離れておって平気なことである。そういえば君は、「何が平気なもんか、万里
異境にある旅情のさびしさは君にはわからぬ」などいうだろうけれど、僕から見ればよく....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
がありそうなものですが――」 「そうです、ねえ」と、僕の妻は最終の責任を感じて、
異境の空に独りぼっちの寂しさをおぼえた。僕は、出発の当時、井筒屋の主人に、すぐ、....
「地球盗難」より 著者:海野十三
士は、この異風景の中に、呆然として立ちつくした。それはまるで千里の波濤を越えて、
異境に遊ぶの想いがあった。日本中を探しまわっても、恐らくこれほど風変りな邸を持っ....
「河明り」より 著者:岡本かの子
部を覗くことに興味が弾んだ。私は招待に応じた。 東京下町の蔵住いの中に、こんな
異境の感じのする世界があろうとは思いかけなかった。 四畳半の茶室だが、床柱は椰....
「海底都市」より 著者:海野十三
をはき出した。 「それは言えない。わしの口から言えない。君のようなエトランジェ(
異境人)には言えない」 博士は、そのことばが終るとともに立上って、両の肩をぶる....
「火星探険」より 著者:海野十三
艇を護りつづけてきたデニー博士以下の乗組員たちも、哀れ、火星着陸の声を聞くと共に
異境の海に全員溺死してしまったであろう。博士の沈着にして果断な処置が、危機一髪の....
「女性の諸問題」より 著者:倉田百三
、紡績ばかり著て生きても夢と、詩とは滅びることがない。それが精神生活、たましいの
異境というものだ。 燃えるような恋をして、洗われる芋のように苦労して、しかも笛....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
の艦上で昔の私のことを思い出してくれて、たとい半分は自分の心遣りであったにしろ、
異境の孤独の心を寄せてよこしたのに、どうしてそれに応えなかったのであろう。私はよ....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
ルジアとしなければならぬくらい、われわれは日本の伝統小説を遠くはなれて近代小説の
異境に、さまよいすぎたとでもいうのか。日記や随筆と変らぬ新人の作品が、その素直さ....
「褐色の求道」より 著者:岡本かの子
ようかと、心を籠めて建てた勤人の家屋の設計を見て廻るのも興味があった。私は最早や
異境滞遊三年に近く、所謂偉大なもの、壮麗なもの――つまり異常なものの見物には刺激....
「旅への誘い」より 著者:織田作之助
自分もまた吹雪と共に吹かれて行こうという道子にとっては、自分の若さや青春を捨てて
異境に働き、
異境に死ぬよりほかに、姉に報いる道はないと思われた。 「お姉さまもき....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
て、窓の下を石狩川が流れだした。雨はいつか雪に変っていた。窓外の風物が、しだいに
異境らしい侘しさを加えてきたせいもあったが、体が車の動搖になじむにしたがい、私は....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
私はもうじりじりしていたのだ。旅程が長くて、いつまでも私の筆はこの目ざす一大驚
異境に達しなかったからだ。 来た、来た。今度こそは縦横無尽だ。 飛躍、飛躍。....
「放免考」より 著者:喜田貞吉
かったものもあろう。かくてこれらの人々は、或いは後世にいわゆる「来り人」として、
異境に寓して別に生活の道を求め、或いはいわゆる雑式浮宕の輩となりて、放浪に衣食し....