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「異香〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

異香の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
も右門の鼻をゆかしく打ったものは、そこのたなの上にある桐《きり》の小箱から発する異香のかおりでしたから、もう以下は説明の要がないくらいで、案の定それなる桐の外箱....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
がれた形で、ぎょッとしながら互いに顔を見合わしているとき、あたりにえも言いがたい異香の香をただよわせて、新造、禿、一|蓮托生《れんたくしょう》の花共を打ち随えな....
婦系図」より 著者:泉鏡花
寝衣に着換えて、浅黄の扱帯という事がある。そんな時は、寝白粉の香も薫る、それはた異香|薫ずるがごとく、患者は御来迎、と称えて随喜渇仰。 また実際、夫人がその風....
大阪夏之陣」より 著者:菊池寛
戦い敗れた後の重成の従容たる戦死の様が窺われる。 重成の首は月代が延びていたが異香薫り、家康これ雑兵の首にまぎれぬ為の嗜、惜む可きの士なりと浩歎した。 ....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
載せさせてもらった事があるけれども、だいたいあのような流儀で、いささか読者に珍味異香を進上しようと努めてみるつもりなのである。西鶴は、世界で一ばん偉い作家である....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
、うつむきに反っている、落葉松の蔭には、石楠花がちらほら見えて、深山の花の有する異香をくんじているが、路が御庭へ一里、大沢へ約二里と、森の中へ深いりすると、落葉....
十二支考」より 著者:南方熊楠
祖鑑真は唐より薬物多く将来し、失明後も能《よ》く嗅《か》いで真偽を別ち、火葬の節異香山に満ちた。元興寺《がんごうじ》の守印は学|法相《ほっそう》、倶舎《くしゃ》....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
る境にも異はなかった。 やがて、自分のを並べ果てて、対手の陣も敷き終る折から、異香ほのぼのとして天上の梅一輪、遠くここに薫るかと、遥に樹の間を洩れ来る気勢。 ....
三枚続」より 著者:泉鏡花
とばかりにしてものの静けさよ。ここかしこの鉢植なる熱帯地方の植物は、奇花を着け、異香を放ち、且つ緑翠を滴らせて、個々電燈の光を受け、一目|眇として、人少なに、三....
法然行伝」より 著者:中里介山
両幡《ふたはた》の椋の木と名をつけた。年を経て傾き古くなったけれど、この椋の木は異香が常に薫じ、奇瑞《きずい》が絶ゆることがない。後の人この地を崇《あが》めて誕....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
ら思索へと累進するときに、層々の闇の中にときどき神秘なうす明りが待受けていて何か異香らしいものさえ鼻に薫じた。距離感と時間的観念とはいつの間に消滅していて落下か....
三国志」より 著者:吉川英治
ば、長松大柏は森々と屋をおおい、南国の茂竹、椰子樹、紅紫の奇花など、籬落として、異香を風にひるがえし、おもわず恍惚と佇み見とれていた。 一疋の犬が吠えたてた。....