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「疎ら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

疎らの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
た。時計を出してみると、もう十一時をすこし廻っていた。 隣りの広間にも客はもう疎らだった。豊ちゃんが、睡そうな顔をして、近所の商店の番頭さんのお相手をしていた....
西湖の屍人」より 著者:海野十三
1 銀座裏の酒場、サロン船を出たときには、二人とも、ひどく酩酊していた。 私は私で、黄色い疎らな街燈に照らしだされた馴染の裏街が、まるで水の中に漬っているような気がしたし....
赤外線男」より 著者:海野十三
た。この時刻には、流石の新宿駅もヒッソリ閑として、プラットホームに立ち並ぶ人影も疎らであった。 あの六番線のホームには、中央あたりに荷物|上げ下げ用のエレヴェ....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
客を吸いよせたのであった。 夜はしだいに更けた。屋外を行く散歩者の姿もめっきり疎らとなり、キャバレーの中では酔いのまわった客の吐き出す声がだんだん高くなってい....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
町は禍である。市街はほとんど全滅と云ってもよい。ただ僅かに大通りに面した一部分が疎らに生き残っているばかりで、その他の建物は片端から破壊されてしまった。大火事か....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ていて、それがいつまでも動かなかった。そういった荒涼たる風物の中で、構内は人影も疎らなほどの裏淋しさ、象徴樹の籬が揺れ、枯枝が走りざわめいて、その中から、湧然と....
のろのろ砲弾の驚異」より 著者:海野十三
4 私たちが外に出たときは、夜もだいぶん更けて、さすがの南京路も、人影が疎らであった。 二人は、アルコールにほてった頬を夜風に当てながら、別に当てもな....
転機」より 著者:伊藤野枝
にされて私達を迎える。いつか土手に添うた畑地はなくなって、土手のすぐ下の沿岸の、疎らになった葦間に、みすぼらしい小舟がつなぎもせずに乗り捨ててあったり、破れた舟....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
してください」 長い橋の中ほどまで来た頃には、河岸の家々には黄いろい灯のかげが疎らにきらめきはじめた。大川の水の上には鼠色の煙りが浮かび出して、遠い川下が水明....
星女郎」より 著者:泉鏡花
うかうかと並木を辿る――大な蜻蛉の、跟をつけて行くのも知らずに。 やがて樹立が疎らになって、右左両方へ梢が展くと、山の根が迫って来た。倶利伽羅のその風情は、偉....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
は開演を数日後に控えている、鰕十郎座の舞台裏に姿を現わした。午前中の奈落は人影も疎らで厨川朔郎は白い画室衣を着て、余念なく絵筆を動かしている。その肩口をポンと叩....
ランス紀行」より 著者:岡本綺堂
スの町は禍である。市街は殆ど全滅と云ってもよい。ただ僅かに大通りに面した一部分が疎らに生き残っているばかりで、その他の建物は片端から破壊されてしまった。大火事か....
決闘場」より 著者:岡本かの子
アイリスと同じように、晩春の午後の陽射しを受けて淋しく燻し銀色に輝く白樺の幹や、疎らな白樺の陰影に斜めに荒い縞目をつけられて地味に映えて居る緑の芝生を眺めて居た....
火に追われて」より 著者:岡本綺堂
青い草原が横わっているのを見た。それは明治十年前後の元園町の姿であった。そこには疎らに人家が立っていた。わたしが今立っている酒屋のところにはお鉄牡丹餅の店があっ....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
て行くのである。あの頂き、あの楢や栗の生え茂った絶頂へ行って一休しよう、その辺の疎らな松木立の中に猪の鼻と飛び上り、又一声鳴いては飛び上りつつ翔ってゆく。偶々自....