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「疎髯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

疎髯の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
掛けた孤堂先生はさほどに大事な夢を持っておらぬ。日ごとに※《あご》の下に白くなる疎髯《そぜん》を握っては昔《むか》しを思い出そうとする。昔しは二十年の奥に引き籠....
満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
越して、奥を覗《のぞ》いて見たら、窓の傍《そば》に機《はた》を据《す》えて、白い疎髯《そぜん》を生やした爺《じい》さんが、せっせと梭を抛《な》げていた。織ってい....
明暗」より 著者:夏目漱石
肉の少ない細面《ほそおもて》の腮《あご》の下に、売卜者《うらないしゃ》見たような疎髯《そぜん》を垂らしたその姿と、叔父のこの言葉とは、彼にとってほとんど同じもの....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
下町の中央に未練があって、毎日、その方面へ探しに行くらしかった。帰って来たときの疎髯を貯えた父の立派な顔が都会の紅塵に摩擦された興奮と、疲れとで、異様に歪んで見....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
十四五の少年の様に紅味ばしった顔をして居る。長い灰色の髪を後に撫でつけ、顋に些の疎髯をヒラ/\させ、木綿ずくめの着物に、足駄ばき。年を問えば七十九。強健な老人振....
四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
人の肩に担がれて行くのであるが、其方へ眼を向けてみると、まず肩が見えて、次に長い疎髯、それから漸く頭が見えるのだ。 「看護長殿!」 と小声に云うと、 「何か?....
近世快人伝」より 著者:夢野久作
さねば、先生の御一家は野タレ死にをしますぞ」 と忠告した。翁はニコニコと笑って疎髯を撫でた。 「まあそう、急いで逐い出さんでもええ。喰う物が無くなったらどこか....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
間違えたのはこれらしい。……ばかりではない。 一人、骨組の厳丈した、赤ら顔で、疎髯のあるのは、張肱に竹の如意を提げ、一人、目の窪んだ、鼻の低い頤の尖ったのが、....
日記」より 著者:宮本百合子
って居る。ああやって一生過す人かと思ったら、真個《ほんと》に気の毒になって来た。疎髯の生えた顎、震える唇を思うと、あの山の温泉で、一つの命が次第に弱って来て居る....
三国志」より 著者:吉川英治
嘆じるように、 「ううむ。まったくだ。同感だ。だが、どうしようもないじゃないか」疎髯をつまんで、とがった顎を引っ張りながら、そううそぶくだけだった。 「やんぬる....
三国志」より 著者:吉川英治
いた。 ――けれど陳大夫は平然と通って行った。 白い羊を引いて。 そして、疎髯を風になびかせながら行く。 「なんだろ、あの爺は」と、指さしても、咎める兵は....
三国志」より 著者:吉川英治
っていた。布衣草履少しも身は飾っていないが、どこかに気概の凛たるものを備え、赭顔疎髯、まことに渋味のある人物だ。 「あいや、ご浪人」 玄徳は呼んで話しかけた。....
三国志」より 著者:吉川英治
その辺りから声がするのでよく見ると、まぎれもない司馬懿仲達が、櫓の高欄に倚って、疎髯を風になぶらせながら、呵々と大笑しているではないか。 郭淮は大いに驚き、心....