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疑念
「疑念〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
疑念の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
れない事ですが、兼ねてあの婆の怪しい呪力《じゅりき》を心得ている泰さんは、さらに
疑念を挟む気色もなく、アイスクリイムを薦《すす》めながら、片唾《かたず》を呑んで....
「富士」より 著者:岡本かの子
し懸けられぬいわれはなかった。だが翁の心に於て、まず最初に、こどもの存否を気遣う
疑念があった。懐疑、躊躇《ちゅうちょ》、不信、探りごころ――こういう寒雲の翳は、....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
い。省作はその不束を咎むる思いより、不愍に思う心の方が強い。おとよの心には多少の
疑念があるだけ、直ちにおはまに同情はしないものの、真に悲しいおはまの泣き音に動か....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
近が恐ろしい顔をして、それを睨んでいるのをちらと見た。 「もしや……」 とある
疑念が僕の心の中に湧いた。僕は眠らずにそっと彼女等を窺っていなければならないとき....
「不沈軍艦の見本」より 著者:海野十三
や彼らが十二月八日をショックとして云いあわせたように気が変になったのではないかと
疑念を抱かせるものがあるのであったが、二三の者に小当りに当ってみた結果によると、....
「月世界探険記」より 著者:海野十三
た。だから「危難の海」に現われたこの小さい白点は、月世界の無人境説の上に、一抹の
疑念を生んだ。 念のために、二百|吋という世界一の大きな口径の望遠鏡をもつウイ....
「人造人間事件」より 著者:海野十三
論者が居るのですか」 「そうなんだよ。私もそのお仲間だ。私はむしろジョンの行動に
疑念をもつ。なにかこう近代科学をうまく利用して、サンタマリア病院に居ながら、五、....
「転機」より 著者:伊藤野枝
れられていたことが、すべて曲解に裏返された。私はその曲解をいい解くすべもすべての
疑念を去らせる方法も知っていた。しかし、すべては世間体を取り繕う、利巧な人間の用....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
。ところが、事件に於て犯人である夫人は、明かに『花束の虫』を恐れていた。で、僕の
疑念は当然夫人の前身へ注がれた訳だ。その目的と、もうひとつスパニッシュ・ワンステ....
「三重宙返りの記」より 著者:海野十三
、「自分は今、本当に宙返りをやっているのかしら、夢を見ているのではないか」という
疑念がしきりと湧いた。 ――そのとき、虚空と大地とが、まるで扁平な壁のように感....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
ようにも思われた。あいつが仕事のついでに、悪戯をして廻るのではあるまいか。そんな
疑念をも生じたのであった。 すりは一種特異の刃物を掌中に持っている。それで巾着....
「迷信解」より 著者:井上円了
がある。その逃ぐるにも、ときどき足をとどめて後ろをふりかえり見るがごときは、人に
疑念を起こさしむるように思わる。その他、民間にて申すには、狐が石を投げ柝をうち、....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
論と一致しておるに、なにゆえに日本人はかかる軌道外に出でたるか」といい、なにやら
疑念を抱いておるように見えた。彼らの教育社会ではどこまでも、ヤソ教の有神論は理化....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
るに、時に応じ場所に臨みて正当の心を持つ主となって、着々ともの事の真相を見つめ、
疑念や妄想に負けないで、一歩一歩、しっかりした人生を歩めということです。 誰か....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
なのに不思議だ、と、主治医も常に首を傾げている、するとやっぱり――、彼女の胸には
疑念が湧いた、が、それにもかかわらず、その手紙を夫へ見せようとも、また訊きただし....