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疚
「疚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
疚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
たのである。しかも、その満足は、復讐の目的から考えても、手段から考えても、良心の
疚《やま》しさに曇らされる所は少しもない。彼として、これ以上の満足があり得ようか....
「想片」より 著者:有島武郎
実際そうであるのだからしかたない。
しからば第三階級に踏みとどまっていることに
疚《やま》しさを感じないか。感ずるにしても感じないにしてもそうであるのだから、私....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
里とも馴染みであった。しかしどう考えてもお絹からこんな難題を持ち掛けられるような
疚《やま》しい覚えはなかった。 「馬鹿だな。誰かにしゃくられたと見える」と、林之....
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
かったが、籠から鶯を放してやるだけに、武士が家重代の刀を売る。たとい自分には何の
疚《やま》しい心がないとしても、思いやりのない世間の人間はいろいろの評判を立てる....
「蘭学事始」より 著者:菊池寛
いことを欣ぶような心が潜んでいることに気づいているだけに、そのまま黙っているのが
疚《やま》しかった。 「いや知らすべき便《たより》がないとは、限り申さぬ。本石町....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
分だだをいうのだけれど、この日はただ両手をついて俯向いたきり一言もいわない。何の
疚《やま》しい所のない僕は頗《すこぶ》る不平で、 「お母さん、そりゃ余り御無理で....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
、他人に認められるを厭う人だと云う事は是だけで分って居る。
併し余は自分の身に
疚《やま》しい所がないから、敢えて恐れぬ、深く詮索の必要が有ろうとも思わぬ、縦し....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
久次郎が母に責められて、その無実を明らかに証明し得なかったのも、やはりその内心に
疚しいところがあったからであった。式部におびやかされ、母に責められても、美しい行....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
をなし、姦淫をなし、人殺しをなし、偽りの祈祷をなしていたではないか。お前の行いが
疚ましくなると「人の義とせらるるは信仰によりて、律法の行いに依らず」といって、乞....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
は咽喉を貫かれ、一人は胸板を突き通されている。 「獄卒を二匹退治たまでさ。何んの
疚いこともねえ」 こう冷やかに呟くと死人の袖で棹を拭いた。棹の先から血が滴り、....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
でも米でもない。施与には違いなけれど、変な事には「お禁厭をして遣わされい。虫歯が
疚いて堪え難いでな。」と、成程左の頬がぷくりとうだばれたのを、堪難い状に掌で抱え....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
り、見物は恍惚たりき。かくても見てなお乞食と罵る、さは乞食の蒲団に坐して、何等|
疚しきことあらむ。われは傲然として答えたり。 「可いよ乞食、乞食だから乞食の蒲団....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
厨川朔郎と云う男には、犯人としても、また優れた俳優としての天分もある。けれども、
疚しい所のない人間と云うものは、鳥渡した悪戯気から、つい芝居をしたくなるものだが....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
路に奔った気の毒な犠牲であるように考えていた。少くも渠らが世間の道徳に背いたには
疚しくも恥かしくもない立派な哲学的根拠があるように思っていた。この考察も万更見当....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
ての価値以上の一種の感激を与えていたということになると、自分は人間としての良心の
疚しさを感じないわけに行かないのだ。どっちにしたって同じことじゃないか?――自分....