疥癬[語句情報] »
疥癬
「疥癬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
疥癬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「皮膚と心」より 著者:太宰治
志士のいどころを一命かけて、守って見せる。けれども、蚤《のみ》か、しらみ、或いは
疥癬《かいせん》の虫など、竹筒に一ぱい持って来て、さあこれを、お前の背中にぶち撒....
「人間失格」より 著者:太宰治
菌が何十万、床屋には禿頭《とくとう》病の黴菌が何十万、省線の吊皮《つりかわ》には
疥癬《かいせん》の虫がうようよ、または、おさしみ、牛豚肉の生焼けには、さなだ虫の....
「船医の立場」より 著者:菊池寛
にも腰の回りにも、腿《もも》にも、数は少ないが広がっている。紛《まが》う方なく、
疥癬《しつ》である。 考えてみると、保土ヶ谷の宿で給仕に出た女中が、頻《しき》....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
芸もなくやに下っていたのである。 彼は絶えず誰かに嘲笑されるだろうという恐怖を
疥癬《ひぜん》のように皮膚に繁殖させていた。必要以上に肩身の狭い思いを、きょろき....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
取りて高価に售《う》る。狂犬に咬まれた者少しく服《の》まば即座に治る、また難産や
疥癬に神効あり、その肉また甘《うま》ければ人好んで購《あがな》い食う」と言った。....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
を少しもせず、聖僧の伝記に浴せざる年数を記してその多きを尊んだくらい故、三世紀の
疥癬《かいせん》大流行など自然の成り行きで、シェテレやパルセヴァルやトリスタンや....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
スグリヴァ、上出)衆を率い海に臨み、以て渡るなきを憂う。天帝釈化して猴となり身に
疥癬を病めり、来り進んで猴衆に石を負わせ、海を杜《ふた》がしめ衆|済《わた》るを....
「野道」より 著者:幸田露伴
いた。 先生の言によると、それはタムシ草と云って、その葉や茎から出る汁を塗れば
疥癬の虫さえ死んでしまうという毒草だそうで、食べるどころのものでは無い危いものだ....
「三木清を憶う」より 著者:豊島与志雄
接見も差入れも許されなかったのである。刑務所側の説明に依れば、三木は警視庁以来、
疥癬にかかり、また栄養失調を来し、九月半ばに急性腎臓炎となり、症状が進んで、病舎....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
……。彼はその姿を学校の中に見た。嗄《しゃが》れ声のきたない粗野な賤《いや》しい
疥癬病《かいせんや》みの生徒らの中に交って、衒学《げんがく》的な天才はだの風貌《....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ならべて松王丸《まつおうまる》もどきに片っぱしから首実験をして行く。鼻たらしや、
疥癬《しつ》頭、指をくわえてぼんやり見あげていたのを、せんぶりの千太が顎の下へ手....
「二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
温いよごれた着物を一枚一枚と脱ぎ棄てながら歩いたのだ。しかもその足には怠惰という
疥癬《かいせん》が一面に巣喰っていた。 *10 言葉で片づける、とい....
「夏の町」より 著者:永井荷風
の上に寝たであろう。私は人がよく後指《うしろゆび》さして厭《いや》がる醜い傴僂や
疥癬掻《ひつッかき》や、その手の真黒な事から足や身体中はさぞかしと推量されるよう....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
は辛うじて雨露を凌ぐ程度で、坪当たり数名の、すし詰めの生活だった。そして復員者が
疥癬《かいせん》を蔓延させた。 第五月すなわち十二月に入ると霙《みぞれ》が降り....
「女房ども」より 著者:神西清
ーシカの小金に眼がくらんだのさ。そいで魚籠の中の魚みたいに捕まっちまった。あんな
疥癬やみのアリョーシカと寝るくらいなら、蛇とでも寝た方がましさ。そういう姉さんの....