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疫
「疫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
疫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
足をとめた辻には、枝のまばらな、ひょろ長い葉柳《はやなぎ》が一本、このごろはやる
疫病《えやみ》にでもかかったかと思う姿で、形《かた》ばかりの影を地の上に落として....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
と思うくらい、はしたない調子を帯びたものだった。自分は思わずSさんの顔を見た。「
疫痢《えきり》ではないでしょうか?」「いや、
疫痢じゃありません。
疫痢は乳離《ちば....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
か》に罹《かか》りました。稲見の母親はお栄《えい》と云って、二三年|前《ぜん》の
疫病に父母共世を去って以来、この茂作と姉弟二人、もう七十を越した祖母の手に育てら....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
のを、干魚《ほしうお》だと云うて、太刀帯《たてわき》の陣へ売りに往《い》んだわ。
疫病《えやみ》にかかって死ななんだら、今でも売りに往んでいた事であろ。それもよ、....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
椎《あしなつち》と云うものであった。ところが近頃部落の男女《なんによ》が、続々と
疫病《えきびょう》に仆《たお》れるため、足名椎は早速|巫女《みこ》に命じて、神々....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
せっかく生まれた子供までが、夫の百《ひゃっ》ヶ|日《にち》も明けない内に、突然|
疫痢《えきり》で歿《な》くなった事です。女はその当座昼も夜も気違いのように泣き続....
「或る女」より 著者:有島武郎
きのうの風が凪《な》いでから、気温は急に夏らしい蒸し暑さに返って、横浜の市街は、
疫病にかかって弱りきった労働者が、そぼふる雨の中にぐったりとあえいでいるように見....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
をなす事ができようぞ。君とお会いした時も、君のような人が――全然都会の臭味から免
疫されて、過敏な神経や過量な人為的知見にわずらわされず、強健な意力と、強靱な感情....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ばしたりしただけでは満足せず、その全体に於て動き進まねばならぬからだ。理想という
疫病に犯されているお前は、私の歩き方をもどかしがって、生意気にも私をさしおいて、....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
るであろう。氷雪の国から巨人らが現われて神々の宮殿に攻め寄せ、人間は寒冷と飢餓と
疫病と争闘のために死んでゆくであろう。太陽はそのときでもやはり同じ弧状の軌道を天....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
ささか長いに閉口するだろうが、いま一節を君に告げたい。この春東京へは突如として牛
疫が起こった。いきおい猛烈にわが同業者を蹂躙しまわった。二カ月の間に千二百頭を撲....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
そりゃ熱のせいだ、熱だよ。姉さんも知ってるだろうが、熱じゃ色々な事を見るものさ。
疫の神だの疱瘡の神だのと、よく言うじゃないか、みんなこれは病人がその熱の形を見る....
「多神教」より 著者:泉鏡花
ません。可愛い、大事な、唯一人の男の児が煩っておりますものですから、その病を――
疫病がみを―― 「ええ。」「
疫病|神。」村人らまた退る。 神職
疫病神を―― お....
「競馬」より 著者:犬田卯
地から湧くのか知れないが、とにかく小判が転がっているようなものだった――そいつが
疫病やみのように村人の魂へとっついてしまった。 競馬は春秋二季、あたかも農閑期....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
だ、恩人も糸瓜もねえ、弱り目につけ込んで、すけべいの恩を売る奴は、さし込み以上の
疫病神だと、怒鳴るでがしょう。 一体何という藪だ、破竹か、孟宗か、寒竹か、あた....