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「疫痢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

疫痢の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
と思うくらい、はしたない調子を帯びたものだった。自分は思わずSさんの顔を見た。「疫痢《えきり》ではないでしょうか?」「いや、疫痢じゃありません。疫痢は乳離《ちば....
捨児」より 著者:芥川竜之介
せっかく生まれた子供までが、夫の百《ひゃっ》ヶ|日《にち》も明けない内に、突然|疫痢《えきり》で歿《な》くなった事です。女はその当座昼も夜も気違いのように泣き続....
栄螺」より 著者:田畑修一郎
へ行っていたのだが、病気だという電報が来たので慌てて出かけた。この娘は三つの時に疫痢をやって死にかかったことがあるので、てっきりそれに近い病気だと思った。いろい....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
寝室でもあり、病弱な子供たちの病室でもあった。わずか半日半夜のうちに、十二の夏|疫痢で死んで行った娘の畳の上まで引いた豊かな髪を、味気ない気持で妻がいとおしげに....
父杉山茂丸を語る」より 著者:夢野久作
位で所謂、夭折というのをやっていたかも知れない。 因に弟の峻は、私が八歳の時に疫痢で死んだ。そのためであったろう。母は又、私の処に帰って来て、大きな乳を私に見....
ある遊郭での出来事」より 著者:若杉鳥子
も嘗ては球のような新しい身をもって生まれ、何よりも母親たちの恐れる麻疹、天然痘、疫痢、ジフテリア等に、幾種もの小児病を幸いにも無事に経過して来た、尊い肉体である....
一九二九年一月――二月」より 著者:宮本百合子
さ――十数年前の夏東京の大学病院小児科の隔離室に暮したことがあった。英男が三つで疫痢を病って入院して居た。自分は十二位だった。母と病室に泊った。深夜氷嚢をかえに....
厄年と etc.」より 著者:寺田寅彦
推算の可能性を否定してしまうだけの証拠も持ち合せない。 例えばある家庭で、同じ疫痢のために二人の女の児を引続いて失ったとする。そして死んだ年齢が二人ともに四歳....
追憶の医師達」より 著者:寺田寅彦
て一時は生命を気遣われたが、この岡村先生のおかげで治ったそうである。たぶん今云う疫痢であったろうと思われる。死ぬか、馬鹿になるか、と思われたそうであるが、幸いに....
小さな出来事」より 著者:寺田寅彦
安心な怪しげな医者の手にかからねばならなかった。そのうちに知人のある者は保養地で疫痢のために愛児を亡くしたりした。それでもう海水浴というものが恐ろしくなって、泊....
生と死との記録」より 著者:豊島与志雄
が知らしたとでもいうようなことになるんだね。」私はそんなことを云った。「私はまた疫痢にでもなるんではないかと思って……。」と芳子は云った。 私達は十二時頃床に....
林檎」より 著者:豊島与志雄
りません。所が子供が三つの時、女は赤痢にかかって死にました。子供もやはり赤痢とか疫痢とかで、殆んど同時に死にました。そうですね、去年の秋でしたよ。私は二人を一緒....
」より 著者:犬田卯
ち寄らなかったら、おせきの決心はまだまだつかなかったであろう。自分の子供を二人も疫痢で亡くしているこの女房は、ヨシ子の容態を一目で見てとった。 「まア、おせきさ....
大岡越前」より 著者:吉川英治
守さまのお末の子――お三ツになられるのが、春には重い風邪を病み、また梅雨すぎから疫痢にかかって、まだ捗々しくないのでしてな」 「やれやれ。それは越前どのにとって....