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疳高
「疳高〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
疳高の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
間に勢いよく玄関の格子戸《こうしど》ががらっとあいて「おゝ寒い」という貞世の声が
疳高《かんだか》く聞こえた。時間でもないので葉子は思わずぎょっとして倉地から飛び....
「星座」より 著者:有島武郎
を聞いているんじゃない。知らずば教えてつかわそう。サムソンというんだ」
綺麗な
疳高《かんだか》い、少し野趣《やしゅ》を帯びた笑声が弾《はじ》けるように響いた。....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
どうも弱ったよ、中谷君。今日の市会には、例の土地買収問題が出るだろうか」 と、
疳高い声が心配そうに訊いた。 「そりゃ市長さん、今日は上程しますよ。向うの作戦は....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
、重い鉄扉が、遠慮会釈なく、引き開けられる物音がした。 「おう、組長、大変だア」
疳高い声で叫ぶものがある。 わしは、ギクリとした。 「組長」わしの胸倉に縋りつ....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
ンとひどい音だ。呻るような吠えるような声がする――。そこへ突然私の名が呼ばれた。
疳高いが、紛れもなく帆村の声だった。 私は階段を駈けあがった。それは三階の廊下....
「蠅男」より 著者:海野十三
れ」 ドンドンドンと、扉はやけにうち叩かれた。主人の名を呼ぶ署長の声はだんだん
疳高くなり、それと共に顔色が青くなっていった。 「――丁度午後十二時や。こらどう....
「地球盗難」より 著者:海野十三
のことなら大丈夫でござりまするわい……」と、胸一ぱいに繃帯をした顔色の悪い男が、
疳高い声で叫んだ。「わしの生命は、もう長うござりませぬでナ。まだ眼玉の黒いうちに....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
う干してある白壁の蔵を据えた魚漁家の娘だった。 この大きな魚漁家の娘の秀江は、
疳高でトリックの煩わしい一面と、関西式の真綿のようにねばる女性の強みを持っていた....
「地球要塞」より 著者:海野十三
は、いささかわびしい気もちであった。 その気もちを、ぶち破ったのは、オルガ姫の
疳高《かんだか》い悲鳴だった。 「あッ、大変、大変よ」
疳高い叫び声と同時にオ....
「もくねじ」より 著者:海野十三
に立てた。ぼくはどきんとした。 「何を怒っているんだい、木田さん」 横合から、
疳高い声が聞えた。 「いや、優級品のもくねじだから安心していたんだ。ところがこん....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
アンと、そしてもう一人は男の声だった。言葉は、フランス語だった。男の声は、いやに
疳高い。アンが、もうすこし低く喋ってはと注意したが、その男の声は地声とみえて一向....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
両手を拡げて救いを求めているようです。 「どこからあの家へ行けるんだろう」と兄が
疳高い声で叫びました。 「ほら、あすこに門のようなものが見えていますよ」と私は道....
「人造人間事件」より 著者:海野十三
絵の人物であるような錯覚さえ起るのであった。 通りかかった火の番小屋の中から、
疳高い浪花節の放送が洩れてきた。声はたいへん歪んでいるけれど、正しく蒼竜斎膝丸の....
「くろがね天狗」より 著者:海野十三
、不思議にも見当らなかった。ただ――それから一町ほど先で、カチリと金属の擦れあう
疳高い音響が聞えた。 「な、なんだろう――今のは?」 通り魔か? 通りすぎた気....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
ものなのを、不思議に思いました。 唄い終ると新生寺さんは格天井を見詰めながら、
疳高い透き通るような声で、さもさも嬉しそうに笑い出しましたが、妙なことにはその様....