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「疵物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

疵物の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
職工と微笑」より 著者:松永延造
はその企画を実行する勇気を持つ事が出来た。ほんの宵の中丈露店を開くのではあるが、疵物なぞを安く割引して売るために、客の足は思ったよりも繁かった。そこ迄は実によく....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
/\と駈けつけて来たのです。来てみると、この始末ですから承知しません。大事の玉を疵物にされては、侍でもなんでも容赦は出来ない。取っ捉まえて自身番へ突き出せと、腕....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
男女の間も左程に紊れては居らぬ。然し他の不始末に対しては概して大目である。だから疵物でもずん/\片づいて行く。尤も疵物は大抵貧しい者にやられる。潔癖は贅沢だ。貧....
名娼満月」より 著者:夢野久作
を引いてしもうてはこっちの心が一つも届かぬ。商売は商売。人情は人情じゃ。皿茶碗の疵物ならば、疵のわかり次第棄てても仕舞おうが、生きた人間の病気は、そのようなもの....
少年探偵長」より 著者:海野十三
りだすと、チャンウーは笑って、 「それは高い。なかのつまった花瓶なんて、やっぱり疵物も同様ですから、その半分ぐらいでなくちゃ……」 「あら、半分はひどいですわ。....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
けなければ、またほかのところを、おゆるしが出ることになっているらしい。立派な山を疵物《きずもの》にして、車を仕掛けなければならない理由が七兵衛には少しもわかりま....
南国太平記」より 著者:直木三十五
とで――来年は、二十歳になりますの。二十歳を越えると、世間では、不具者じゃとか、疵物じゃとかと申すのが慣わし故、なかなか嫁入口が、あるまいが――」 「御家老様が....
誘拐者」より 著者:山下利三郎
肝癪を破裂させた、顔を蒼くして唸くようにいった。 「止めてもらいましょうッ、娘が疵物になるかならぬか危急の際ですぞ、貴方は他人じゃから痛痒を感ぜぬか知らぬが、頼....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
和睦を申込まない城とてはありませんでした。天下の優者も、自分の眼にかかってはみな疵物だという自信が強く平常の秀吉の胸にありました。ところがたった一人の茶人、利休....