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疼く
「疼く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
疼くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「初雪」より 著者:秋田滋
りその素足を氷のように冷たい、柔かな粉雪のなかへ一歩踏み込だ。と、傷のように痛く
疼く冷感が、心臓のところまで上って来た。けれども、彼女はもう一方の足を前へぐいと....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
度のはジリジリと来て、長い代りには前ほどに苦しまぬので、下腹や腰の周囲がズキズキ
疼くのさえ辛抱すれば、折々熱が出たり寒気がしたりするくらいに過ぎぬから、今のとこ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
いうことは、やがてからだを動かそうとしたときはっきりと分った。節々が灼けるように
疼くのだ。私は、それでもやっと起きあがった。手さぐりで、からだを探ってみると雑嚢....
「死者の書」より 著者:折口信夫
時よりも、今はっきりと内容を持って、心に浮んで来た。 うつり行く時見る毎に、心|
疼く 昔の人し 思ほゆるかも 目をあげると、東の方春日の杜は、谷陰になって、ここ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
のですから歩いて東北の原に進んでキーチュ川に沿うて上って行きますと、ますます足が
疼くなってどうにも動くことが出来ない。原の中に坐り込まねばならんようになりました....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
痛の自覚を直に歓喜の生に代えるのである。姫は夜の闇にもほのかに映る俤をたどって、
疼くような体をひたむきに抛げ出す。行手に認められるのは光明であり、理想である。 ....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
は、一日に一度は必ず麻酔薬を吸わずにはいられなかった。体内から薬の気が切れると、
疼くような唸きにのた打った。それは、桶から、はね出した鯉のように、どうにもこうに....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
は、もう出来ないことだった。晩には彼は眠られなかった。四肢がけだるく、腰は激しい
疼くような痛みを覚えた。昔は自分の肉体など、感じないほど、五体が自由に動いたもの....
「落穴と振子」より 著者:佐々木直次郎
いが空白である合間。やがてまた音と、運動と、触覚――体じゅうにしみわたるぴりぴり
疼く感覚。次に思考力を伴わない単なる生存の意識、――この状態は長くつづいた。それ....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
時に同情せずにおられません。こんなけだかい人間が不幸に引き裂かれているのを、骨の
疼くような悲しみを感ぜずに、どうして見ることができるでしょう。それほど心がやさし....
「決闘」より 著者:神西清
ら彼が、脚を※がれた昆虫が草の中をまごまごするように、お手前同様下らん連中の中を
疼くような悩みを背負って迷い歩くところを見てやろう。 ラエーフスキイはシェシコ....
「縮図」より 著者:徳田秋声
どには、何か冷たいものがひやりと背筋を走り、昔しの同窓の噂などを耳にすると、体が
疼くような感じで飲んで遊んだりすることが真実は別に面白いわけではなかった。ことに....
「門」より 著者:夏目漱石
年の月日でようやく癒《なお》りかけた創口《きずぐち》が、急に疼《うず》き始めた。
疼くに伴《つ》れて熱《ほて》って来た。再び創口が裂けて、毒のある風が容赦なく吹き....
「浚渫船」より 著者:葉山嘉樹
えないんだ!―― 私は一つの重い計画を、行李の代りに背負って、折れた歯のように
疼く足で、桟橋へ引っ返した。 ――一九二六、七、一〇――....
「秋日記」より 著者:原民喜
診察がすむと、彼はぐったりして、廊下の方へ出て行ったが、眼のまえの空間が茫と
疼く疲労感で一杯になっていた。それから、妻の病室へ戻って来ると、パッと何か渦巻く....