疾うに[語句情報] » 疾うに

「疾うに〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

疾うにの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
隠して「疾《と》うに話が済んで帰りました」彼が来てから三十分とも経たぬ程だのに「疾うに話が済んだ」と云う所を見ると、纔《わずか》に五分か十分で事が分ったと見え、....
恭三の父」より 著者:加能作次郎
そうである。子供を迎いに来たのだと言うと、「馬鹿! 今時分まで何して居るもんか、疾うに帰って了った。富来にも誰も村の者は居らんさかい帰れ帰れ。」と言った。 「己....
春昼」より 著者:泉鏡花
東京の人だからね。この間も一件もので大騒ぎをしたでがす。行って見て進ぜますべい。疾うに、はい、何処かずらかったも知んねえけれど、台所の衆とは心安うするでがすから....
古狢」より 著者:泉鏡花
ったとでもいうわけかね。」 「湯治だなんのって、そんな怪我ではないのです。療治は疾うに済んだんですが、何しろ大変な火傷でしょう。ずッと親もとへ引込んでいたんです....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
間としての幸福であったのである。 六日もつづいて彼女は出てこなかった。コスモは疾うに決心して、その決心を実行するはずであったが、彼はただ熱情に捉えられて頭を悩....
チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
ように考えているようだね。だが僕には思い煩うことを許してくれたまえ。実際僕はもう疾うに、悩みからも、楽しみからも、色々の小袖は剥ぎ捨ててしまったんだ。まだ苦労を....
歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
ならねえ」 おめえの敵と、口ではいっているものの、歌麿の脳裡からは、亀吉の影は疾うに消し飛んで、十年前に、ふとしたことから馴染になったのを縁に、錦絵にまで描い....
青蛙神」より 著者:岡本綺堂
まだ燈火をつけないの。 柳 いつの間にか暗くなったね。 阿香 町の方じゃあ、もう疾うに電燈がついているわ。 柳 町とここらとは違わあね。あかりをつけないでも、今....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
しかず、人の心は愚なるものかな』と仰せられたを見ますれば、この道の余儀ないことは疾うに御存知かとも存じられまする。まだそればかりでなく『女の髪すじをよれる綱には....
春の修善寺」より 著者:岡本綺堂
った。かれは失望して沼津へ帰った。それからだんだん聞きあわせると、当時の被害者は疾うに世を去ってしまって、その遺族のゆくえも判らないので、彼はいよいよ失望した。....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
のであろう。 市郎は蝋燭を岩の罅間に立てて、一先ず父の亡骸を抱き起したが、脈は疾うに切れて、身体は全く冷えていた。併し一通り見た所では、何処にも致命傷らしい疵....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
今たゆたいながら、軽々と、次第次第に 高く升って一しょになる。目の迷か、あの姿は疾うに失った、若かった昔の、無上の物じゃないか。 心の奥の一番早く出来た宝の数々....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
コ/\担いで霊岸島まで往くと、鰻で飯を食うから駕籠を下せと云うから、旦那大黒屋は疾うに売切れて有りません、春は早く仕舞いやすというのに、宜いから下せ、へーッてん....
料理する心」より 著者:北大路魯山人
料理と食器の話などいう、こんな平凡な事柄は、今さら私がおしゃべりしませんでも、みなさんは毎日のことでありますから、疾うにこれに関心をお持ちになり、研究もお出来になっておりますことと思いますが、こ....
春泥」より 著者:久保田万太郎
がみえました。」 「三浦が?」 「えゝ、二時間ばかりまえ。――どこへ行ったろう、疾うに帰ってなければならないんだが? ――しきりにそういってゞした。」 「で、何....