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疾くに
「疾くに〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
疾くにの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
小待合へなんぞ倒込むんですって。監督の叔父さんから内々注意があるもんだから、もう
疾くに兄さんへは家でお金子を送らない事にして、独立で遣れッて名義だけれども、その....
「聖書」より 著者:生田春月
前にあった葉巻を一本取上げた。「さあ、葉巻はどうです」と二度ほど勧められて、もう
疾くに隔ての取れた間なのに、やっぱり遠慮していたその葉巻だ。女中さんは妙にくすり....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
帰って来たけれど、笛坊の方は、まだ電話局から戻ってこないんだよ。いつもなら、もう
疾くに帰って来てなきゃならないんだがね」 「うむ」亀さんは首を傾けて、去年の秋、....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
たからなんです。 質の出入れ――この質では、ご新姐の蹴出し……縮緬のなぞはもう
疾くにない、青地のめりんす、と短刀|一口。数珠一|聯。千葉を遁げる時からたしなん....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
は大衆としようか――大衆向の艶を含んで、胸も腰もふっくらしている。 「わけなし、
疾くに支度をして、この日曜だというのに袴まで穿きましたんです、風がありますからで....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
なんといった日にゃ、私ゃいっそ可哀相だよ。あわれだよ。 何の密夫の七人ぐらい、
疾くに出来ないじゃあなかったが……」 といいかけしがお貞はみずからその言過しを....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
花売の別嬪か。」 「高慢なことをいうねえ、花売だか何だか。」 「うむ、ありゃもう
疾くに帰った。俺ら可いてことよと受合って来たけれども、不安心だと見えてあとからつ....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
切って出立致そう」 武者修行としても一種特別の願望を以て江戸を出たので有った。
疾くに目的を達して今頃は江戸に帰り、喜ぶ恩師の顔を見て、一家相伝の極意秘伝を停滞....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
たので、慌だしく九州路に逃げ延びて、命だけは取留めていたという」 「その石見守は
疾くに死去なされました筈」 「おう、慶長十八年四月に頓死したが、本多上野介正純が....
「靄の彼方」より 著者:上村松園
ません。 唯今は、またぞろ、ある宮家に納まるべきものに筆を着けています。これも
疾くに完成しておるべきはずのものですが、未だに延びのびになっています。 ....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
うんだ。」 「おやおや飛んだ処でね、だってもう三月も過ぎましたじゃありませんか。
疾くにこなれてそうなものですね。」 「何、綿が消化れるもんか。」 ミリヤアド傍....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
たれ店子の上に店賃は取れず、瘠せた蟒でも地内に飼って置くようなもんですから、もう
疾くにも追出しそうなものを、変った爺で、新造が惚るようじゃ見処があるなんてね、薬....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
ゃあねえから明後日とは謂わせねえよ。楼の妓衆たちから三|挺ばかり来てる筈だ、もう
疾くに出来てるだろう、大急ぎだ。」 「へいへい。いやまた家業の方は真面目でござい....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
めた。九十の老齢で今なお病を養いつつ女の頭領として仰がれる矢島楫子刀自を初め今は
疾くに鬼籍に入った木村|鐙子夫人や中島湘烟夫人は皆当時に崛起した。国木田独歩を恋....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
。彼はきっと私の心をも見抜いている事だろう。内心嘲笑しながら話を聞いていたのも、
疾くに知っていて故意と素知らぬ振りを装っているのかも知れない、と思うと少々気まり....