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疾っく
「疾っく〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
疾っくの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
緒にするよりも非道い間違いだぜ」
「それはそうで……」
「そうだとも……君なぞは
疾っくに気が付いているだろうが、精神病鑑定の参考材料としてその発病前後の言動が如....
「キチガイ地獄」より 著者:夢野久作
、全然、徒労に帰してしまいました。私の脳髄から蒸発してしまった過去の記憶は、モウ
疾っくにシリウス星座あたりへ逃げ去っていたのでしょう。それから後、容易な事では帰....
「青年」より 著者:森鴎外
刺身の醤油を探したのである。ところが刺身は綺麗に退治てしまってあったので、女中が
疾っくに醤油も一しょに下げてしまった。跡には殻附の牡蠣に添えて出した醋があるばか....
「反逆」より 著者:矢田津世子
いた。神様のおやり遊ばす事は何事にかかわらず間違いのあろう道理がない。 十時が
疾っくに過ぎて、その夜の勤めを終ったお松は信者達と途中別れて暗い路地を曲って帰っ....
「破落戸の昇天」より 著者:森鴎外
ォツキイは気が附いた。それは自分が後れたと云うことである。リンツマンの檀那はもう
疾っくに金を製造所へ持って往って、職人に払ってしまっている。おまけに虚の財布を持....
「最終の午後」より 著者:森鴎外
るように、わたくしがやたらむしょうに手紙を落しなんかしようものなら、わたくしもう
疾っくに頸の骨を折ってしまうはずではございますまいか。 男。なんですと。そんな....
「雁」より 著者:森鴎外
或る日の事であった。お玉はだいぶ久しく布団の中で、近頃覚えた不精をしていて、梅が
疾っくに雨戸を繰り開けた表の窓から、朝日のさし入るのを見て、やっと起きた。そして....
「神楽坂」より 著者:矢田津世子
あないか」 腕をまくりあげて爺さんは鷹揚に団扇を使っている。 「いえね、お湯は
疾っくにすんだのですけど、丁度おもてを金魚屋が通ったものですからぐずぐずしてしま....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
つつ、「そウら見さっしゃい、印象派の表現派のとゴテ付いてるが、ゴークやセザンヌは
疾っくに俺がやってる哩」とでも脂下ってるだろう。 (大正十四年三月補訂)....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
ナゼ早く行かねいだ。遅くなんねいようにわしが早く早くと急《せ》き立《た》てたから
疾っくの昔《むか》し家を出たのに、迎いさあ行かねいであの子と狂っているだもの。今....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
った燈火がいぶっている限、
夜な夜な煤けて行くばかりだ。
この少しばかりの物を、
疾っくに売り飛ばせば好かったに、
己は重荷のようにそれを背負って汗を掻いている。....
「世界漫遊」より 著者:ダビットヤーコプ・ユリウス
結婚して、ボヘミアにある広い田畑を受け取ることになっている。結婚の相手の令嬢も、
疾っくに内定してある。令嬢フィニイはキルヒネツグ領のキルヒネツゲル伯爵夫人になる....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
ありがとうございました……ありがとう存じます。旦那方がこなけりゃこの万吉は、もう
疾っくに椎の木の肥しになっているところでした」 ペタリと両手をついたさま、心か....