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病夫
「病夫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
病夫の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「癩」より 著者:島木健作
ははじめてやつれた自分の顔を映して見ることができたのであった。 八日目の朝に看
病夫が来て、彼の喀痰《かくたん》を採って行った。 それからさらに二日|経《た》....
「草枕」より 著者:夏目漱石
縮め、分《ふん》を割《さ》いて、心細さの細さが細る。死なんとしては、死なんとする
病夫《びょうふ》のごとく、消えんとしては、消えんとする灯火《とうか》のごとく、今....
「大町米子さんのこと」より 著者:宮本百合子
んの立場、日々のおもいは察するにあまるものがある。米子さんは、国民学校へつとめて
病夫と自分の生活をささえ、大町氏の最後までかわることない真心をかたむけつくした。....
「源氏物語」より 著者:紫式部
ったこともたびたびあったのを思って、死者として枕を直すこともなく、二、三日はなお
病夫人として寝させて、蘇生《そせい》を待っていたが、時間はすでに亡骸《なきがら》....
「源氏物語」より 著者:紫式部
になることなどを始終聞かされていたのがこの恋の萌芽になったのである。 六条院が
病夫人と二条の院へお移りになっていて、ひまであろうことを思って小侍従を衛門督は自....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
に、ちょっと合図した。
「はい――」
泣きながら袂で眼をおさえて、お蓮さまは、
病夫の口もとへ耳を持っていった。
このお蓮さまは、司馬老先生のお気に入りの腰元....
「市川九女八」より 著者:長谷川時雨
九女八のおでんが浮びあがるといったことや、それは、浅草|蔵前《くらまえ》の宿で、
病夫浪之助を殺して表へ出た時の着附《きつけ》だったか、捕《つか》まる時のだか、そ....
「或る部落の五つの話」より 著者:佐左木俊郎
椿があり、その下に泉がある。その椿を神体として三週間の礼拝を続け、泉の水を飲んで
病夫に呑ませるなら、夫の病気は忽ちに癒るであろう。――という竹駒稲荷大明神の夢枕....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
ると、女は物思わしげにうつむいて、火鉢の灰をかきならしている。貧乏世帯を苦にせず
病夫にかしずいている世話場の呼吸《いき》だ。おくれ毛が二、三本、艶に悩ましい気色....
「日記」より 著者:宮本百合子
って歩いて相当な金はとるので、ああなのだろう。 健康で生活力に漲って居る妻と、
病夫との生活について思う。一生続くとしたら悲惨なものなり。海の音、そして鎌倉辺を....
「申訳」より 著者:永井荷風
其ノ金額日々拾円ヲ下ラザルコト往々ニシテ有リ。之ヲ以テ或ハ老親ヲ養フモノアリ或ハ
病夫ノタメニ薬ヲ買フモノアリ。或ハ弟妹ニ学資ヲ与フルモノアリ。或ハ淫肆放縦ニシテ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
)も入れて、夕餉でも共にしようよ。登子、母上へおつたえしておけ」 その清子は、
病夫貞氏と共に、まったく表方には姿をみせず、隠居所の別殿にこもって、近ごろは“日....