病妻[語句情報] »
病妻
「病妻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
病妻の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「現代日本の開化」より 著者:夏目漱石
女の貞節を今まで疑っていたのを後悔したものと見えて、再びもとの夫婦に立ち帰って、
病妻の看護に身を委《ゆだ》ねたというのがモーパサンの小説の筋ですが、男の疑も好い....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
思い切ってたもらんとないませんぞ」 黙然と聞きいる武男が心には、今日見舞い来し
病妻の顔ありありと浮かみつ。 「母さん、私はそんな事はできないです」 「なっぜ?....
「苦しく美しき夏」より 著者:原民喜
《な》れて来そうだった。 それから少しずつ穏かな日がつづいた。いつも彼の皮膚は
病妻の容態をすぐ側《そば》で感じた。些細な刺戟《しげき》も天候のちょっとした変動....
「冬日記」より 著者:原民喜
うな臭いであった――を感じた。家へ戻ると早速《さっそく》、彼はその臭いの佗しさを
病妻に語った。妻は頬笑《ほほえ》みながら「そんなに侘しいのなら、勤めなきゃいいで....
「美しき死の岸に」より 著者:原民喜
何のかかわりもない男が黙りこくって椅子に掛けている。その男の脳裏には、家に残した
病妻と、それから、眼には見えないが、刻々に迫ってくる巨大な機械力の流れが描かれて....
「死のなかの風景」より 著者:原民喜
のような諦感《ていかん》で生きつづけたのか、そのことが知りたかったからだ。だが、
病妻の側《そば》で読んだ書物からは知識の外形ばかりが堆積《たいせき》されていたの....
「山本有三氏の境地」より 著者:宮本百合子
心する。允子が自分の姙娠を知って正式の結婚を求めるが公荘は、允子には話さなかった
病妻が在り、堕胎をせまる。允子はそれを強く拒絶する。「国法を犯すことがこわいとい....
「獄中生活」より 著者:堺利彦
れる。門より庭に入りて立てば、木々の緑が滴るばかりに濃く見えるのだもの。 予の
病妻は予の好める豆飯を炊いて待っていた。予は彼の如何に痩せたるかを見たる後、靴を....
「百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
き立てた秋蚕《しうさん》を棄てた家もあつた。秋の穫入《とりい》れを老母と、産後の
病妻とに託さねばならなかつた人もあつた。 吾々は米と麦とをたべて、日本の地の上に....
「源氏物語」より 著者:紫式部
毒だから」 こう言ったあとで、 「お湯をお上げするがいい」 と女房に命じた。
病妻の良人《おっと》らしいこんな気のつかい方をする源氏に女房たちは同情した。非常....
「女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
たのである。彼女を現在の境遇に陥れたのは、柿沼と松木との共謀によるもので、柿沼の
病妻の死後には正式に結婚するという約束はあるにせよ、共謀の裏に相互の利害関係がひ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
タヒタと逼って来た。 隣りの部屋に女房がいた。昔はさこそと思われる、今も美しい
病妻であった。これも内職の仕立て物――賃仕事にいそしんでいた。 ふと女房は手を....
「あなたも私も」より 著者:久生十蘭
。 「そういう意味じゃないのよ……見てごらんなさい、この行き届きかた……秋川は、
病妻のために、サナトリアムをひとつ、建てるくらいの意気ごみだったそうよ」 そう....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
った。 供の者の知らせで、屋内の人々は、みな玄関へ出迎えていた。見えないのは、
病妻のお縫と、乳のみ児だけだった。 が、越前守は、すぐ、何より先に、その妻子を....