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「病苦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

病苦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
《ただいま》」と返事をした。 五 玄鶴はだんだん衰弱して行った。彼の永年の病苦は勿論《もちろん》、彼の背中から腰へかけた床ずれの痛みも烈《はげ》しかった。....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
《もう》でなかったのも、その病のせいに違いなかった。甚太夫はこの話を聞くと、一層病苦に堪えられなくなった。もし兵衛が病死したら、勿論いくら打ちたくとも、敵《かた....
忠義」より 著者:芥川竜之介
て来ているので、修理も彼には、日頃から一目《いちもく》置いていた。これはほとんど病苦と云うものの経験のない、赭《あか》ら顔の大男で、文武の両道に秀《ひい》でてい....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
の年七月、麻川氏は自殺した。葉子は世人と一緒に驚愕した。世人は氏の自殺に対して、病苦、家庭苦、芸術苦、恋愛苦或いはもっと漠然とした透徹した氏の人生観、一つ一つ別....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
、交霊実験を試みてはならぬ。次に又精神肉体が睡眠を求め、休養を求むる時にも、又疾病苦悩に煩わされて居る時にも、われ等の認可を受けた上でなければ、成るべく、交霊を....
獄中消息」より 著者:大杉栄
るを求めず、 ただこの処女より生い立て。 世のあらゆる悲哀を甞めて、 息の喘ぎ、病苦、あふるる涙、 その聖なる神性によりて後光を放ち、 蒼白のおもて永遠に輝く。....
歯車」より 著者:芥川竜之介
いなかった。僕は何か救われたのを感じ、じっと夜のあけるのを待つことにした。長年の病苦に悩み抜いた揚句、静かに死を待っている老人のように。…… 四 まだ....
雪霊記事」より 著者:泉鏡花
を紫に、色あるまでに、蚊帳へ影を宿しました。 「まあ、汗びっしょり。」 と汚い病苦の冷汗に……そよそよと風を恵まれた、浅葱色の水団扇に、幽に月が映しました。…....
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
るようでした、なぜですか。…… 酒も呼んだが酔いません。むかしの事を考えると、病苦を救われたお米さんに対して、生意気らしく恥かしい。 両手を炬燵にさして、俯....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
を、どうなさいます? とお縫が尋ねると、勿体ないが汗臭いから焚き占めましょう、と病苦の中に謂ったという、香の名残を留めたのが、すなわちここに在る記念の浴衣。 ....
妖怪学」より 著者:井上円了
肢の上に傷害をきたすがごときは、いわゆる身部より生ずる病なり。しかして、その心に病苦を感じ不快を生ずるは、いわゆる身部の影響、心部の上に及ぼすものなり。これに反....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
浮草』の如き丁度関節炎を憂いて足腰が起たないで臥ていた最中で、病床に腹這になって病苦と闘いながらポツポツ訳し、三十枚四十枚と訳しおわると直ぐ読返しもしないで金に....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
しむることあたわず、神見ざるところなく聞かざるところなしというも、その信者をして病苦を脱せしむることあたわず。上帝を信ずるものと信ぜざるものと、苦楽の境裏を来往....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
て病気見舞にやられます。ところが維摩は右に述べたような仏教の体得者ですから自分の病苦ぐらいについては立派な心用意があり、今さら、他人から慰めを得る必要もありませ....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
睡眠に以前よりも多くの時間を与えねばならないことだけでも僕には十分に悲しい。今の病苦から半分だけでも解放されたら、そうしたら――いっそう成熟しいっそうでき上がっ....