病躯[語句情報] » 病躯

「病躯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

病躯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
観画談」より 著者:幸田露伴
うも騒雑の気味があるので晩成先生の心に染まなかった。さればとて故郷の平蕪の村落に病躯を持帰るのも厭わしかったと見えて、野州上州の山地や温泉地に一日二日あるいは三....
」より 著者:島崎藤村
」 冷い壁の下の方へ寄せて、隅のところに小窓が切ってある。その小窓の側が宗蔵の病躯を横える場処である。 宗蔵は言葉を継いだ。「阿爺と言えば、阿爺の書いた物を....
」より 著者:島崎藤村
てくれれば食うし、食わせてくれなければそれまで」と言ったような、宗蔵の横に成った病躯には実に強い力が有った。 「そうかい。折角来たのに御気の毒でした」 と森彦....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
地や何かも殖やした方であったが、鉄道が敷けて廻船の方が挙がったりになってからも、病躯をかかえて各地へ商取引をやっていた。瑠美子が産まれてから間もなくその父は死ん....
」より 著者:徳田秋声
にしないで、始終曇った顔をしている笹村に、先生は元気らしく言って、生きがいのない病躯を嘲っていたが、先生の唯一の幸福であった口腹の欲も、そのころから、少しずつ裏....
」より 著者:鷹野つぎ
の子供の声にも思った。 私は回顧にひき戻され、現状に思いを馳せ、行末まで模糊と病躯に思い煩った。家族に会ったあと、私が窓にも向かず物思いに沈んでいると、小谷さ....
草藪」より 著者:鷹野つぎ
が余計|闃として来た、私はキリギリス籠を思わせるベッド蚊帳におさまって、それでも病躯にちがいないまだ異和のある身を、眠りのなかに忘れて行った。 数日過ぎてから....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ろごろ転がっている。新たに守護職を承った会津中将の苦心というものは一通りでない。病躯《びょうく》を起して、この内憂外患の時節に、一方には倒れかけた幕府の威信を保....
連環記」より 著者:幸田露伴
出られたれば、それ学びて見たまで、とケロリとしていた。九十に近い老僧が瘠せ枯びた病躯に古泥障を懸けて翼として胡蝶の舞を舞うたのであった。死に瀕したおぼえのある人....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
また子規氏が希望で母刀自や叔父の加藤恒忠氏の忠告するにもかかわらず、沼津の海岸へ病躯を転地せんといい張った時も、私はそれでは俄に医師の救護を得るにも不便だからと....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
待っていた。当の長老はまっさおな顔をして坐っていたが、それは興奮のためではなく、病躯の衰弱のせいであった。祈るような微笑がその唇に漂っていた。彼は猛《たけ》り狂....
食堂」より 著者:島崎藤村
り、最後に残ったその子息さんまでも震災の当時には大火に追われ、本郷の切通し坂まで病躯を運んで行って、あの坂の中途で落命してしまった…… 「お母さん、支度が出来た....
子規居士と余」より 著者:高浜虚子
たが、なお一人を要するという時に居士は進んでこれに当ることになった。余らは居士の病躯で思いもよらぬ事だと思ったが、しかし余らのいう事はもとより容れなかった。居士....
寒中滞岳記」より 著者:野中至
しつ》の炉辺に舁《か》き据《す》えられ、一行は種々の手段を施こし、夜を徹して予が病躯《びょうく》を暖《あた》ためつつある真最中なりしなり、さて予は我に還るや、俄....
挿話」より 著者:徳田秋声
うせ何とかしなくちゃならないにしても、今は誰にも逢いたくないんだ」道太はあの時|病躯をわざわざそのために運んできて、その翌日あの大地震があったのだが、纏めていっ....