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痕
「痕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
痕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
っ直《すぐ》に雨樋《あまどい》をおろした壁にはいろいろのポスタアの剥《は》がれた
痕《あと》。
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この劇場の裏の下部《かぶ》。少年は....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
御老人さえよければ差し上げようと思って持って来ました。」
崋山は、鬚《ひげ》の
痕《あと》の青い顋《あご》を撫《な》でながら、満足そうにこう言った。
「もちろん....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
と》めた物売りの前へ歩み寄った。緑いろの鳥打帽《とりうちぼう》をかぶった、薄い痘
痕《あばた》のある物売りはいつもただつまらなそうに、頸《くび》へ吊《つ》った箱の....
「影」より 著者:芥川竜之介
》くと、そっとその細い頸《くび》へ手を廻した。それから頸に残っている、無残な指の
痕《あと》に唇を当てた。
明い電燈の光に満ちた、墓窖《はかあな》よりも静な寝室....
「河童」より 著者:芥川竜之介
たもの、――阿呆か、悪人か、英雄かである。(クラバックはこの章の上へ爪《つめ》の
痕《あと》をつけていました。)
×
我々の生活に必要な思想は三....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
。甚太夫の顔には微笑が浮んだ。それと同時に窶《やつ》れた頬《ほお》へ、冷たく涙の
痕《あと》が見えた。「兵衛――兵衛は冥加《みょうが》な奴でござる。」――甚太夫は....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
時、己が一時嫉妬を感じたのは事実だった。しかしその嫉妬も今では己の心の上に何一つ
痕跡《こんせき》を残さないで、綺麗に消え失せてしまっている。だから渡《わたる》は....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
は牧野《まきの》の酌《しゃく》をしながら、彼の右の頬へ眼をやった。そこには青い剃
痕《そりあと》の中に、大きな蚯蚓脹《みみずばれ》が出来ていた。
「これか? これ....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
背負いながら、人気《ひとけ》のない野原を走っていた。野原の涯《はて》には残月が一
痕《いっこん》、ちょうど暗い丘のかげに沈もうとしているところだった。金将軍はふと....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
貰いに顔を出した。N君は泥まみれの長靴《ながぐつ》をはき、外套《がいとう》に雨の
痕《あと》を光らせていた。自分は玄関に出迎えたまま、これこれの事情のあったために....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
ていた。僕はこの深い轍に何か圧迫に近いものを感じた。逞《たくま》しい天才の仕事の
痕《あと》、――そんな気も迫って来ないのではなかった。
「まだ僕は健全じゃないね....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
彼は、じっとその考えを持ちこたえていた。それだけに、一層戦友の言葉は、ちょうど傷
痕《きずあと》にでも触《ふ》れられたような、腹立たしい悲しみを与えたのだった。彼....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
らしかった。現に僕もおとといの朝、左の肩から上膊《じょうはく》へかけてずっと針の
痕《あと》をつけられていた。
「どこを?」
「頸《くび》のまわりを。やられたなと....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
棘《いばら》の冠《かんむり》がのっている。そうしてまた、手や足には、鞭《むち》の
痕《あと》や切り創《きず》が、薔薇《ばら》の花のように赤く残っている。が、眼《め....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
の中で語っている一部始終を読み返した。私は歔欷いている自分の哀れな心の中に痛い傷
痕をかんじて、我知らず手足を折られでもした者のように呻き声を放った。 私はそこ....