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痕跡
「痕跡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
痕跡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
た。憎悪はどう言う感情よりも彼の心を圧していた。のみならずいつか彼の心へ消し難い
痕跡《こんせき》を残していた。彼は貧困を脱した後も、貧困を憎まずにはいられなかっ....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
時、己が一時嫉妬を感じたのは事実だった。しかしその嫉妬も今では己の心の上に何一つ
痕跡《こんせき》を残さないで、綺麗に消え失せてしまっている。だから渡《わたる》は....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
死を招いた、あの猪首《いくび》の若者の記憶は、未だに彼の心の底に傷《いた》ましい
痕跡《こんせき》を残していた。この記憶を抱《いだ》いている彼は、彼等の好意と反感....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の衝動の仮りの姿を認めることが出来ないだろうか。 地球が造られた始めにはそこに
痕跡すら有機物は存在しなかった。そこに、或る時期に至って有機物が現われ出た。それ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ユダヤの宇宙開闢説の中にはまた世界の卵という考えに関するフェニシアの創世伝説の
痕跡のあることは『エロヒームの精霊が水の上に巣籠りした(〔bru:tete.〕 ....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
妾はそこで思いきって全身に亘る診断のことを頼んでみた。一つには異状又は異状の
痕跡の有る無しのこと、もう一つには妾の懐胎の機能が健全であるか不健全であるかとい....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
マー出版の『ウェルタール・ウント・メンシハイト』の精巧細緻なレザーの模範的装釘も
痕跡だになく亡び、此頃での大出版と云われる剣橋現代史も尚だ到着したばかりの十四冊....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
わないのでございます。況《いわ》んや博士に於《おい》ては家出せられるほどの事情は
痕跡《こんせき》ほども持って居られない。従ってこれは博士を誘拐《ゆうかい》したと....
「海底都市」より 著者:海野十三
うしゅぎ》だ。もはや人類は、そういう能力を全然失っている。海中生活に耐える器官は
痕跡《こんせき》程度残っているかもしらんが、海中|棲息《せいそく》の本能なんど有....
「大脳手術」より 著者:海野十三
いよ。この十年間に外科手術は大発達を遂げた。そしてその第一は、今までのような醜い
痕跡残存が完全に跡を絶ったことだ。だから顔面整形手術の如きものが、どんどん行われ....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
だ告白書の文句も見えず、それから……」 「それからケリヤムグインも燃焼して、その
痕跡も残っていないと仰有るのですか」 帆村はぐっと唇を横に曲げた。 「そういう....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
、野鄙な文句とか、頓珍漢な理窟とか、嘘や出鱈目とかは、私の知れる限りに於て、全然
痕跡もなく、何れも皆真面目な教訓、又は忠言のみであった。 『初期の通信は、前にも....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
いるのです。 いかめしい死よ、おまえの沈黙は恐怖をさそう。 おまえの地上にのこす
痕跡は寺の墓場だけなのか。 たましいは*ヤコブのはしごを見ることはないのか。 墓....
「兎と猫」より 著者:井上紅梅
すと、あの二つの生命はいつのまに消えたのかしらん、人知れず鬼悟らず生物史上一点の
痕跡もなく、そうしてSは一声も吠えない。わたしはそこで旧い話を思い出した。以前会....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
食った。食ってしまうとまた船を出した。道具を片附けて豆殻は皆河の中へ棄てた。何の
痕跡も残さなかったが、雙喜は八おじさん(船の持主)の塩と薪を使ったことを心配した....