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痛く
「痛く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
痛くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
るのは、ひどいやね。」
「何がひどいものかね。死んでしまえば、犬に食われたって、
痛くはなしさ。」
老婆は、杖《つえ》の上でのび上がりながら、ぎょろり目を大きく....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
いますし、家庭教師と云う関係上、結婚までには何か曰《いわ》くがあったろうなどと、
痛くない腹を探《さぐ》られるのも面白くないと思ったからでございます。同時にまた私....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
は責《せ》めて踏めと申したで。じゃが、痛うはござらぬかな。
内供は首を振って、
痛くないと云う意味を示そうとした。所が鼻を踏まれているので思うように首が動かない....
「或る女」より 著者:有島武郎
、目の大きな、沈んだ表情の彼女の襟の藍鼠《あいねずみ》は、なんとなく見る人の心を
痛くさせた。細長い食卓の一端に、カップ・ボードを後ろにして座を占めた事務長の右手....
「或る女」より 著者:有島武郎
るのは俗にいう「つつもたせ」の所業と違ってはいない。そう思うと葉子は自分の堕落を
痛く感ぜずにはいられなかった。けれども現在の葉子にいちばん大事なものは倉地という....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
けれども次の日が来ると僕は中々学校に行く気にはなれませんでした。お腹《なか》が
痛くなればいいと思ったり、頭痛がすればいいと思ったりしたけれども、その日に限って....
「星座」より 著者:有島武郎
戸口の方に寝返った。が、それまで眩《まば》ゆい日の光に慣れていた眼は、そこに瞳を
痛くする暗闇を見出だすばかりだった。その暗闇のある一点に、見つづけていた蝿が小さ....
「外科室」より 著者:泉鏡花
《とう》を取る先生は、高峰様だろうね!」 「はい、外科科長です。いくら高峰様でも
痛くなくお切り申すことはできません」 「いいよ、痛かあないよ」 「夫人《ふじん》....
「碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
もかまわず入れ物にしまってしまった。 八っちゃんは寝床の上にねかされた。どこも
痛くはないと見えて、泣くのをよそうとしては、また急に何か思い出したようにわーっと....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
母親が何だ?」 と云いかけて、語気をかえ、 「そう云っちまえば、実も蓋もない。
痛くない腹を探られるのは、僕だって厭だ。それにしても早瀬へ遊びに行くと云う君に、....
「親子」より 著者:有島武郎
てさえ不快を感じたらしく、監督の方に向いて、 「六年間|只奉公してあげくの果てに
痛くもない腹を探られたのは全くお初つだよ。私も今夜という今夜は、慾もへちまもなく....
「橋」より 著者:池谷信三郎
男が好きなんじゃないの? シイカはじっと下唇を噛んでいた。一歩ごとに振動が唇に
痛く響いて行った。 ――え? 彼が追っかけるように訊いた。 ――ええ、好きかも....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
とから大地を奪って、頭の上からは天空を消してしまった。これほどに冷え切って、心を
痛くさせるものが又とあるであろうか。 「もっと見ろ。もっと見ろ、ラザルス。」と、....
「初雪」より 著者:秋田滋
きなりその素足を氷のように冷たい、柔かな粉雪のなかへ一歩踏み込だ。と、傷のように
痛く疼く冷感が、心臓のところまで上って来た。けれども、彼女はもう一方の足を前へぐ....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
もようやく授かった。男の子だったので、ジャンという名をつけた。眼のなかへ入れても
痛くない、子供の顔を見ないでは夜も日も明けないと云う可愛がり方。そして、車大工と....