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「痛事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

痛事の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
った。文壇に晦かった坂本が、さして秘事とも思わず取扱った材料は、麻川氏にとっての痛事だったとあとで坂本に云う人がかなりあった。 「そりゃあ気の毒だったな。川田君....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
。其後栄病死す。只圓のみ相続す」 と在る。この前後数年の間に翁は二つの大きな悲痛事に遭遇したわけである。 明治十一年春(翁六十二歳)、長知公御下県になり、福....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
家なぞは、どぶつで汗ッかき、おまけに脚気を煩っていたんだから、このしみばかりでも痛事ですね。その時です、……洗いざらい、お雪さんの、蹴出しと、数珠と、短刀の人身....
社会時評」より 著者:戸坂潤
ところは硲、小山の両中堅の春陽会脱退だ。この二人が脱けたら、春陽会にとって相当の痛事だ。展覧会も古くなればいろいろと事件がおきる。画壇のためには、起きた方がいい....
丹下左膳」より 著者:林不忘
るか、どっちにしろ、ここでぼろい儲けをしようとたくらんでいる与の公にとっては、大痛事《おおいたごと》。 で、黙っていたんだが、隠していることがあると図星をささ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
学志願者はぐっとへった由です。そうでしょう。ますます子供の通学ということは親の心痛事になって来ているのですものね。私でさえ多賀ちゃんが洋裁習うといってひっくりか....
青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
社員などは軽蔑しきっており、要するに私がお金のない青年と恋をするのが母の最大の心痛事であり恐怖であった。 私は女学校の四年の時に同級生で大きな問屋の娘の登美子....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
信するに至った。これだけで済めばさほどのこともなかったろうが、ここに千代の一大心痛事があったのである。ほかでもないが、一粒種の東太の智能が低いのである。父は素人....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
いるに耐えられなかった。で、平八は小屋を出た。これは実際彼にとっては、予期以上の痛事であった。 打ち拉がれた平八は、両国橋の方へ辿って行った。雪催いの寒い風が....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
た甚八が、急に何か思いついたように大声を出した。 「親分はあの清水屋の若主人の大痛事を御存じですかえ?」 「清水屋って、あの蔵前の――。」 「さいでげすよ、あの....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
の密謀の件が暗黙に伏せられなければならぬという事実は、王冠擁護の告発官にとっての痛事であった。被告たちはどんな弁護人をも依頼することを許されなかった。そして、最....
はつ恋」より 著者:神西清
どだ! 彼女の方でわたしの家へ来ることは、あまりなかったが、それはわたしにとって痛事ではなかった。うちへ来ると、彼女はたちまち、令嬢――つまり公爵令嬢に、早変り....